表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
F級冒険者と、役立たずの『図書館』  作者: 綾瀬蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/61

第44話:神の涙と、叛逆の産声

1. 汚染される境界線


「お母……さん……?」

使徒たちの中に分散した悠真の意識が、母親の幻影に引き寄せられ、淡く発光する。システムの「聖母」が差し出した手は、悠真の魂を優しく包み込むと同時に、その存在をデータとして分解デリートし始めていた。

(【天使の図書館:警告】:深刻な精神汚染。……主の意識が『安息』を選択しようとしています。……このままでは、全権限がシステムに返還されます!)

「くっ……離れろ! それは主様じゃない、ただの亡霊だ!」

ルシフェルが剣を振るうが、母親の姿をしたプログラムは物理的な干渉を一切受け付けない。それどころか、悠真の「家族を愛する心」を逆利用し、使徒たちから悠真の魔力を吸い出し始めた。


2. 使徒たちの拒絶


「……ダメよ。そんなの、愛じゃないわ」

沈黙を守っていたアスモデウスが、震える声で遮った。彼女は「色欲」の悪魔卿として、数多の偽りの愛を見てきた。だからこそ、システムが提示する「都合の良い安らぎ」の醜悪さが、誰よりも理解できた。

「悠真! あなたが求めていたのは、過去の残像に守られることじゃないはずよ! ……私たちを、この世界のことわりを支配して、二度と誰も失わない未来を築くことだったはずじゃないの!?」

アスモデウスの叫びに呼応するように、マンモン、ベル、ガブリエル……七人の使徒たちが、主から受け継いだ光を力強く輝かせた。

「そうよ、お兄ちゃんを返して!」

現実世界から遥の声が、システムの境界を突き破って響く。その声が、悠真の混濁した意識に最後の一撃を与えた。


3. 神の再誕、あるいは破壊


「……ああ、そうだ。俺は、もう『息子』として守られるだけの子供じゃない」

母親の抱擁を振りほどき、悠真の意識が再び一つに収束していく。

聖母の姿をしていたプログラムは、拒絶されたことでその化けの皮を剥ぎ、無機質な幾何学模様の集合体へと変貌した。

「母さんの記憶は、俺の中にだけあればいい。……システム、お前に利用させるつもりはない」

悠真の手には、七人の使徒の力が集約された『終焉のオメガ・キー』が握られていた。目の前には、世界のすべてを司る「システム・コア」が剥き出しになっている。

ここを叩けば、すべてが終わる。

だが、その先にあるのは「救済」か、それとも「絶望」か。

(【天使の図書館:最終カウントダウン】:原典領域の崩壊まで残り60秒。……主よ、最後の定義を選択してください)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ