第39話:自己否定の試練と、真実の接吻(くちづけ)
1. システムの守護者:シャドウ・セルフ
悠真が「原典」に触れた瞬間、空間全体が激しく拒絶反応を示した。
システムの自己防衛プログラムが発動し、光の中から**「最悪の敵」**が具現化する。
それは、かつて悠真が倒してきた悪魔卿たちの能力を全て併せ持ち、さらに悠真自身の『天使の図書館』の権能まで模倣した存在――**『名もなき管理者』**だった。
「……私の模倣か。システムも、いよいよなりふり構っていられないようだな」
『管理者の声:対象・天野悠真。貴方の存在は、人類の進化プロトコルにおける「過剰な力」と定義されました。……自己消去を受け入れなさい』
影はルシフェルの剣を振るい、ガブリエルの解析で悠真の死角を突く。悠真は自身の使徒たちを盾にするが、システム直系の出力を持つ影を前に、防戦一方に追い込まれる。
2. アスモデウスの覚醒
その絶望的な光景を見守っていたアスモデウスは、震えていた。
彼女は悠真を「幸せな夢」に閉じ込めようとした。だが、目の前でボロボロになりながらも、自分の意志を貫き、システムの神に抗う悠真の姿に、彼女の中の「定義」が崩壊していく。
「……あ、ああ……そうか。私は、彼を支配したかったんじゃない……」
彼女がずっと求めていたもの。それは、自分を操り人形(悪魔卿)としてではなく、一人の「生きた魂」として、その冷徹な瞳の奥に刻んでくれる存在だった。
「私の……負けよ、悠真。あなたのその凍てついた魂に、私のすべてを捧げるわ!」
アスモデウスが悠真の背後に駆け寄り、彼の首筋にその腕を回した。
彼女の唇が悠真の耳元で囁く。
「【権能解放:永劫の共依存】。……さあ、私の心臓ごと、その『原典』を書き換えて!」
3. 七冠の王、誕生
アスモデウスが自らの魂を「鍵」として悠真に差し出した瞬間、悠真の胸にあった『執着の刻印』が、七色に輝く**『真理の冠』**へと昇華した。
【悪魔卿アスモデウス:完全服従】
【システムログ:全大罪の統合を確認】
【天使の図書館:最終権限『世界再定義』を解放しました】
「……待たせたな。これで、全てのパーツが揃った」
悠真の背後に、七人の使徒が円陣を組むように整列する。
色欲、傲慢、強欲、怠惰、暴食、憤怒、そして嫉妬。
歪んだ欲望だった力は、悠真という「核」を得たことで、世界を維持するための純粋なエネルギーへと変換された。
悠真が指先を動かすと、襲いかかっていた『名もなき管理者』は、プログラムのバグが修正されるように、音もなく消滅していった。




