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F級冒険者と、役立たずの『図書館』  作者: 綾瀬蒼


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第20話:静かなるクーデターと怠惰の予兆

1. 組織の掃除


サタン(ルシフェル)救済から一週間。特対庁内部では、天野悠真の評価を巡って激しい対立が起きていた。

「F級から数ヶ月でB級? そんな異常な成長、何か禁忌の魔導具を使っているに決まっている! 奴を拘束し、その『知識』の源泉を解析すべきだ!」

会議室で声を荒らげるのは、保守派の重鎮・大河原常務理事。彼は、氷室咲の独走と、得体の知れない悠真の台頭を苦々しく思っていた。

しかし、その会議室の隅で端末を操作するガブリエルが、冷ややかな視線を送る。

(【観測対象:大河原理事】:余罪:冒険者ギルドからの巨額の賄賂、および違法魔石の横流し。……処刑対象デリートに設定)

「……大河原理事。その件ですが、こちらの資料をご確認いただけますか?」

ガブリエルが提示したのは、大河原が長年隠蔽してきた汚職の証拠一式だった。バルクァンが金の流れを追い、ガブリエルが消去されたログを復元した、完璧な「死刑宣告」だ。

「な、なんだこれは……!? 誰がこんなものを……!」

「主の邪魔をする者は、組織の癌として切除いたします」

ガブリエルが静かに告げると同時に、ルシフェルの放つ威圧感プレッシャーが会議室全体を支配した。大河原はその場で失禁し、警備員(という名の、既に悠真側に買収された隊員たち)によって連行されていった。

こうして、悠真は手を汚すことなく、特対庁の意思決定機関を事実上掌握した。


2. 氷室咲の決断


一方、執務室で一人、窓の外を眺める氷室咲のもとに悠真が現れた。

「……組織の連中が、次々とあなたの支持に回っているわ。一体何をしたの?」

「俺はただ、彼らに『正しい選択』をさせただけです。氷室さん、あなたも気づいているはずだ。今の特対庁では、これから現れる悪魔卿たちには対抗できない」

悠真は、氷室のデスクに一枚の報告書を置いた。

「次の標的は、悪魔卿ベリアル。司るは『怠惰』。彼女の拠点は、ゲートの中ですらない。……この、日本最大のVRゲーム・プラットフォームの中だ」


3. 仮想世界の悪魔


【観測対象:次世代VRMMO『エリュシオン』】:

特徴:全世界で1億人がプレイする仮想現実空間。

ベリアルの干渉:プレイヤーの脳波を微弱に操作し、「現実へ帰りたくない」という怠惰な快楽を増幅。魂を電子空間に定着させ、膨大な精神エネルギーを抽出している。

「VRゲームの中? 冗談でしょう?」

「ベリアルは戦いを嫌う。だから、人々を夢の中に閉じ込めて、戦う意欲そのものを削ぎ落としているんだ。現在、原因不明の昏睡状態に陥っているプレイヤーが数千人出ている。これは全て、彼女の仕業だ」

悠真の瞳の奥で、図書館がベリアルの座標を特定した。

「氷室さん、俺と一緒に『ログイン』してもらいます。現実の武力が通用しない世界で、俺の知識がどれほどのものか……その目で確かめてください」

悠真は、自ら開発(バルクァンの資金とガブリエルの技術)した特殊なダイブギアを手に取った。

三人目の使徒ルシフェルを影に従え、悠真は「怠惰」が支配する仮想世界へとその足を踏み入れる。

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