第14話:二人の使徒と情報の独占
1. C級ランカーの新たな日常
悪魔卿マモン(バルクァン)の救済と力の吸収により、天野悠真はC級ランカーへと正式に昇格した。表向きは「効率の良い戦闘方法を発見した」という理由付けがされており、特対庁内での彼の評価は急上昇していた。
しかし、彼の真の力は、二人の元悪魔卿という「情報と財の二大柱」の存在にあった。
特対庁本部・情報管理課:ガブリエル(元レヴィア)
ガブリエルは、氷室咲の秘書兼解析員として、特対庁の全ての情報フローを掌握していた。
「氷室課長。先ほど、S級ゲート『東京湾深海』の魔力ノードが不安定になったという緊急報告が入りました。これは、悪魔卿サタンが関与している可能性が高いです。傲慢の魔力波形が確認されます」
ガブリエルは、悪魔卿の情報を意図的に「漏らし」、次のターゲットであるサタンへと誘導していた。
(【観測対象:氷室咲】:現在の思考:『サタン……マモン、レヴィアよりも強大。しかし、ガブリエルの解析は常に正確だ。彼女の情報網と論理的思考は、特対庁にとって不可欠だ』)
ガブリエルは、氷室の独占欲を満たしつつ、悪魔卿に関する情報を全て抜き取り、悠真へと転送していた。
特対庁本部・財務資産管理室:バルクァン(元マモン)
一方、バルクァンは、マモンの金銭支配の知識と、天使としての調停能力により、特対庁が回収した莫大な魔石や資産の管理者として迎え入れられた。
「担当者様。回収された魔石の最適な錬成スケジュールと、それにより得られる純魔力の備蓄予測を算出しました。この備蓄を集中投資すれば、天野悠真氏への魔力ブースター供給を、現在の五倍に強化できます」
バルクァンは、悠真への魔力供給という名目で、特対庁の資金を自由に動かす権限を得ていた。
「主よ。これで、貴方が次の悪魔卿サタンと対峙する際に必要な純粋魔力のバックアップ体制が完成しました。私たちが管理する情報は、氷室咲すら知り得ない、最高機密です」
2. C級ゲートでの無双
悠真は、C級に昇格した後も、他のC級ランカーとは一線を画す効率でゲートを周回し続けた。
彼が挑むのは、ガブリエルとバルクァンの情報によって「最も純粋魔石の還元率が高い」と解析されたC級ゲートばかりだ。
「『経済解析』発動」
悠真の瞳には、モンスターの魔石が現行レートでどれほどの純粋魔石に変換できるかという「価値」が数値化されて映し出されていた。
彼の戦闘は、無駄なスキルを使うことなく、最もコストパフォーマンスが高い一撃必殺で完結する。
(俺の成り上がりは、もう運ではない。情報と資金を操る二人分の悪魔卿(元天使)の力が、俺の知識チートを支えている)
悠真の成長速度は、もはや特対庁のデータ操作でも隠しきれないレベルに達していたが、氷室咲の部署を掌握したガブリエルが、「天野の魔力は瞬間的に高まるが、持続しないため、ランクは抑えられている」という偽の報告書を作成し、事なきを得ていた。
3. 次なるターゲット、傲慢
悠真は、ガブリエルとバルクァンが解析した、次の悪魔卿サタンの情報を確認した。
「サタン。悪魔卿の序列で最も強大。彼女は傲慢を司り、人間社会の組織や権威を崩壊させようとしている」
サタンは、レヴィアやマモンと違い、単独で行動せず、常に自らの力を試すような場所に拠点を構える傾向があった。
ガブリエルからの緊急の連絡が入った。
『主よ。サタンの魔力残滓が、S級ゲート『東京湾深海』の最深部で急増しています。彼女は、特対庁と他の冒険者ギルドとの共同作戦を狙って、罠を仕掛けているようです』
『東京湾深海』は、日本最大のS級ゲートであり、現在、氷室咲が率いる特対庁の精鋭部隊が、他のギルドと共同で攻略準備を進めている場所だ。
「サタンは、俺の前に、傲慢なエリートたちの壊滅を企んでいる。これは、俺がS級への足がかりを築く、最大のチャンスだ」
悠真は、氷室咲に与えられたC級ゲートの周回任務を放棄し、S級ゲート『東京湾深海』へと向かう決意を固めた。二人の使徒が構築した万全のバックアップ体制のもと、悠真の次なる救済戦が始まる。




