表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
F級冒険者と、役立たずの『図書館』  作者: 綾瀬蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/61

第12話:強欲の女王(マモン)と氷室の独占欲

1. マモン製造拠点への到達


悠真と氷室咲は、共闘によりマモンの眷属を撃退し、ついに換気シャフトの最深部に到達した。そこは、これまでの俗っぽい金色の空間とは一転し、純粋な黒曜石で作られた、巨大な円形金庫のような空間だった。

空間の中央には、レヴィアの拠点にあったような結晶体ではなく、積み上げられた莫大な金塊と宝飾品の山があった。その財宝の頂点に、一人の女性が悪魔の羽根を休ませるように座っていた。

悪魔卿、マモン。彼女は、レヴィアとは違い、豪華絢爛なドレスを纏い、計算され尽くした魅力的な微笑みを浮かべていた。

「あら、驚いたわ。まさかF級のネズミと、S級の犬が手を組んで来るなんて」

マモンは、二人の姿を見て余裕の表情だった。彼女の視線は、真っ直ぐに悠真に向けられていた。

(【観測対象:悪魔卿マモン】ステータス:魔力S+(覚醒前)。特殊能力:欲望増幅、金銭支配。現在の思考:『F級の男がレヴィアを消した。彼の持つ知識こそ、私にとって最高の財宝だ』)

マモンは、レヴィア消滅の裏に悠真の知識があることを見抜いていた。

「S級の女性ランカー。あなたは、そのF級の男があなたの情報を盗み、私に売ろうとしていると、一度たりとも疑わなかったのかしら?」マモンは、氷室の最も脆い部分を刺激した。


2. 氷室の心の隙


マモンの言葉は、氷室の心に突き刺さった。悠真の『知識による精神防壁』が氷室の心を完全に保護していても、マモンの言葉が論理的な疑念を呼び起こすことは止められない。

「天野の報告は、特対庁の利益と一致している。裏切りはあり得ない」氷室は冷徹に言い放ったが、その瞳は微かに揺れていた。

悠真の『天使の図書館』は、この瞬間に氷室の精神領域で何が起きているか、全てを観測していた。

(【観測結果】:氷室咲の心の隙『情報の独占欲』が刺激されている。マモンの狙いは、氷室に「悠真の知識を独占しなければならない」という欲望を抱かせ、彼女の戦闘能力を極度に不安定にすることだ)

悠真は、氷室がマモンの策略に嵌る前に、行動しなければならない。

「マモン。お前の狙いは、人類の富を全て独占することではない。お前の真の欲望は、堕天する前の『天使としての完全な価値』を取り戻すことだ」

悠真は、レヴィアの時と同じように、マモンの過去の記憶を観測し、彼女の天使時代の名前を口にした。

「元大天使、バルクァン。お前が欲しているのは、金塊ではなく、救済だ」


3. C級突破の鍵


マモンの優雅な微笑みが消え、その顔に初めて動揺が走った。堕天する前の名前を知る者は、この世界にはいないはずだ。

「なぜ、その名を……!貴様、何者だ!」

マモンが驚愕で魔力を緩めたその一瞬、悠真は氷室に叫んだ。

「氷室さん!チャンスです!マモンの魔力は、彼女が座っている金塊の山に依存している!財宝への執着を刺激する限り、彼女はそこから離れられない!金塊を凍らせて!」

氷室は、悠真の指示の正確さを信じ、一瞬の躊躇の後にスキルを発動させた。

「『絶対零度アブソリュートゼロ』!」

S級の強力な魔力が、金塊の山に叩きつけられた。瞬時に、金塊は極低温で凍りつき、マモンの魔力供給が大幅に低下した。

「くっ……!この金塊は私の体の一部だというのに!」

マモンの表情は、屈辱と怒りに歪んだ。

(【構造解析アナライズ完了】:マモンは、魔力源を断たれると、最も執着するアイテム(マモンの場合、純粋な富)を捨てて逃亡する習性がある。その逃亡経路が、救済の糸口となる)

悠真は、この隙を逃さず、マモンの救済に必要な行動を計算し始めた。彼の目的はマモンを倒すことではなく、レヴィアの時と同じように、彼女を天使に戻し、その力を吸収することだ。

悠真は、氷室の力を借りてマモンを追い詰めることに成功した。しかし、S級ランカーである氷室咲の存在は、救済のための最後の段階において、邪魔になる可能性が高い。

悠真は、氷室がマモンの魔力源である金塊を凍らせている間に、そっとマモンに向けて、純粋な天使の魔力波形を放出し始めた。それは、レヴィアを救済した際に吸収した魔力を、さらに増幅させたものだった。

マモンは、その光を浴び、苦悶の表情を浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ