王都最大の露天市
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朝日が眩しく輝く時間。
どこか冷えた空気を纏わせるパグ王国の王都は、活気に満ちていた。
「ここが市場ね」
私は朝一番で物件を紹介してくれた不動産家に駆け込み、商業ギルドと市場の情報を仕入れた。
もちろん、全てはお店を開いて独立し、生き残るためである。
お金を持って王都を出るという選択肢もなかったわけじゃないけど、埋め込まれた記憶によるとパグ王国はどこにいっても戦争ばっかり。
隣国も似たような感じで、どこに行っても結局戦争からは逃れられない。
救いがあるとすればパグ王国は戦争常勝国だということ。
それならここに残って暮らした方がいいと考えたのだ。
「——別に君までこなくてもいいんだけど」
そう呟く私の足元には例の猫。
「にゃー」とも「なー」と鳴く猫は、私が出かけようとしたらついてきた。
異世界でひとりぼっちという心細さからそのままにしていたのだけど、不動産家では店主の目が猫に留まると、なんとも言えない表情で私をみていたのは気になる。
猫が珍しいのかな、とも思ったけど、野良猫も数匹見かけたのでそんなことはないと思う。
「はぐれてもしらないからね」
「にゃー」
これから足を踏み入れるのは王都で最大の露天市。
所狭しと店が並び、物が溢れ、人が行き交っている。朝来た兵と同じ格好の人もいるので、警備兵だろうか。
まずはここで情報収集だ。
女神様がくれた(というか植え付けられた)記憶には、この世界の一般常識てきなものは入っているけど、そこに商売に繋がるようなものはない。
お店をやっていくと決めた以上、何か売り物を見つけなければ始まらない。
あとは私の現代の知識がお金儲けにつながる何かを探し出してくれることを期待するのだけど、異世界転生で定番な砂糖の作り方も味噌の作り方もしらない。
「だからこそ、ここで何かを見つけなきゃ」
「にゃ!」




