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戦争が始まります
「え、な、なに!?」
泥棒?強盗?身構える私をよそに、階下からよく通る野太い声が響く。
「おい!新しく入った店子だな!いるのはわかっているぞ、開けろ!」
どうやら強盗ではなさそうだ。
しかしガンガンと強く叩かれる扉の音に無視を決め込むわけにもいかず、私はいそいで階段を駆け降り、恐る恐るドアを開けた。
そこにいたのは、金属の胸当てをつけた、いかにも「兵士」といった風体の男たちだった。
「ちっ、手間を取らせるな。——エルフ?女か」
兵士は私を一瞥すると、興味なさそうに羊皮紙を広げた。
「貴様も知っての通り、我がパグ王国は来月より隣国との『定期戦争』に突入する」
「・・・・はい?」
「よって戦時徴用令が発令された。王都に住まう五体満足な成人には兵役の義務、もしくは『戦時特別税』の納付が義務付けられる」
パグ王国。この国の名前だ。
犬のような可愛い名前の国だと思っていたけれど、その実態はとんでもない戦闘民族国家だったらしい。私が呆然としていると、兵士は事務的に続ける。
「徴用期間は最低でも一年。見たところ女手一つ、兵役は無理だろう。ならば金だ。来月の一日までに規定の額を用意しろ。払えなければ強制労働だ」
兵士はそう言うと、持っていた羊皮紙を突きつけてきた。そこに書かれた金額を見て、私の心臓が止まりかけた。
「金貨五〇枚……!?」




