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猫の住まう家
「にゃーお」
寝室のベッドの上に我が物顔で鎮座する猫。
茶色の毛並みが薄暗いランプに照らされて、どこか青白く幻想的に見えた。
いや、それよりもだ。
「どこから入ってきたのよ、あなた」
「にゃー?」
猫は逃げる様子もなく、ただあくびを返す。
私がベットまで近づいても、ただ私を見上げるだけで、ゆらゆらと尻尾をゆらしている。
「もしかして、ここってあなたの家?」
「にゃおーん」
喉をならし、猫はゆっくりとした動作でベッドの中央を開けてくれ、しかし枕元に移動してまた寝始めた。
ふと両開きの窓を見れば——まだこの世界では高価なガラス窓だ——わずかに開いており、ここから入ってきたようだ。
いや、出入りしていると言っていい。窓枠には擦れた跡が幾重も見え、きっとこの猫が爪で開けたであろう痕跡がすぐにわかった。
「にゃ」
突っ立っていた私に猫はまるで「寝ないのか?」と言わんばかりにこちらを見て鳴く。
「・・・いっておくけど、私は猫なんて飼ったことないからね」
誰に対して出た言葉か、いや猫に向けてなのだけれど、疲れていた私は女神様が用意してくれたであろう、少し質のいいベッドに潜り込む。
すると意識は簡単に落ちていった。
頬に温かい、なにかを感じながら。




