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第3章:魔法学院入学試験と、覚醒するチート級の才能!

「……いや、どういうことなの?」


 天野澪(仮名:ミオ・シルヴァ)は、冒険者ギルドで出会った金髪のイケメン王子——レオン・フィルゼンの突然の発言に、目を丸くしていた。


「ぜひ、王立魔法学院へご招待したい。今、学院では“次世代の才能”を求めている。そして君の魔力は……まさに理想そのものだ」


「わたし、ただの素人なんですけど……!?」


「君は知らないかもしれないが、“素人で光魔法を無詠唱”なんて、百年に一度の逸材なんだ」


【澪ちゃん天才バレ早いって!】

【設定ガバいって思ってたけど、逆に清々しい】

【王子のスカウト力エグいなw】

【あ、これヒロイン枠じゃなくて主人公枠だった】


「……推薦してくれるなら、受けるしかないか……」


 という流れで、澪は流れるように王立魔法学院の“特別入学試験”を受けることになってしまった。


(本当に大丈夫かな……?)


 配信コメントは盛り上がっているが、本人は不安で仕方がなかった。



 魔法学院は、王都の中心にある巨大な塔だった。


 空中に浮かぶ魔法陣や、石造りの図書館、魔導人形が掃除をしている中庭など、まるでゲームやアニメの世界そのもの。


(テンション上がる……けど、問題は試験!)


 特別試験の内容はシンプルだった。


 ——“与えられた初級魔法を10分以内に習得し、魔力操作で形を示すこと”。


「普通は1時間かかるものを、特別枠は10分で、ってどう考えてもハードル高すぎじゃない?」


 澪は内心でシステムに八つ当たりしつつ、支給された魔法書を開いた。


 内容は、「ライト・スフィア(光の球)」という初級中の初級魔法。


(……ふむふむ、魔力を手に集中させて、形をイメージして……)


 澪の目がスッと細くなる。


 集中。


 世界の空気が、静かになった気がした。


 次の瞬間——


 彼女の手のひらに、完璧な光の球体が浮かび上がっていた。


「っ!?」


 その美しさ、安定性、透明感。

 それはもはや「初級魔法」の枠を超えた“アート”だった。


「ま、まさか……もう完成したのか?」


「いや、まさか……!?」


「これは……“天才”という言葉で済むレベルではない……」


 周囲の試験官たちがざわつく中、澪本人は。


「うん、まあ……こんな感じ、で合ってるかな?」


 ケロッとした表情で魔法球をくるくると回していた。


【え、今の何分?】

【1分もかかってないよ!?】

【完全にバケモノじゃん……】

【無詠唱・無手本・初見でこれは草】

【はい!異世界チート主人公爆誕です!!】


 その夜、「異世界美少女が魔法初見で完璧再現してきた件について」という切り抜き動画が日本の配信サイトで100万再生を突破した。



「……というわけで、合格です。しかも、特待生扱いです。おめでとうございます!」


 学院の案内係の少女、シルヴィア・エーレンが、あからさまに警戒しながらそう言った。


 彼女は銀髪碧眼の澪をじっと見つめる。


「あなた、本当に“素人”なの?」


「ホントに素人ですってば……!」


 澪の返答に、シルヴィアは小さくため息をつく。


「嘘でもいいけど……私は認めない。あなたが、私より目立つなんて」


「え、なんで突然ライバル宣言!?」


【あーこれは……ライバル美少女来た!】

【百合の香りがしてきた】

【“私は認めない”って言いつつ仲良くなるやつだこれ】

【ツンデレ最高】


 澪の魔法学院生活は、まだ始まったばかり。

 ライバルも増え、スカウトも増え、そして何より——


 視聴者数も、まだまだ……増えていく。



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