表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/4

第2章:はじめての異世界タウンと、即バレ寸前のクエスト依頼!?

 森を抜けた先にあったのは、小さな町だった。


 石造りの建物が立ち並び、馬車が道を行き交い、道端ではリンゴのような果物が並んでいる露店。中世ヨーロッパ風のファンタジー世界をまるごと再現したような光景に、澪は小さく息を呑んだ。


「……すごい、ホントに異世界だ……!」


 銀髪に蒼い瞳の絶世美少女、天野澪はその町の入り口に立ち、感動のあまりしばしボーっと立ち尽くしていた。


【背景神!あの町のクオリティやばくね!?】

【これもう映画のロケ地じゃん……】

【澪ちゃん可愛いし、背景映えすぎてて意味わからん】

【転生じゃなくて、異世界観光番組説】


「観光じゃないです……生活なんですけど……」


 思わず配信画面にツッコミを入れるが、もちろん視聴者には聞こえない。


 そう、彼女は“秘密配信システム”によって、現代世界に自身の異世界生活を配信されている唯一の存在。しかもこの配信、バズりまくっている。


 現地ではただの旅人、美少女。

 現代では人気急上昇中の「異世界リアル系配信者」。


 本人にとっては、笑いごとではない。


「とりあえず、宿とご飯……あと、ギルド? 確か冒険者とか登録できるところ……」


 スマホも財布もないこの世界、澪が頼れるのは配信システムの“初回報酬”で貰ったポーションと魔法書、それと、彼女の美貌のみ。


「……いや、外見で生きるのってヤバくない?」


【外見で余裕っしょ(確信)】

【顔だけでモンスター倒せそう】

【むしろ顔がチート】

【澪ちゃんがウィンクしたら村長倒れる説】


「倒れられても困る!」



 町の中に入り、澪は「冒険者ギルド」と書かれた木の看板を見つけた。


 扉を開けると、ザワッと空気が揺れた。


 豪快に酒を飲む戦士、魔法の杖を磨く魔導士、そして——全員の視線が、ドア付近で立ち尽くす澪に集中する。


「…………」


 静寂。


 そして、次の瞬間——


「「「誰だこの美少女!!」」」


 ギルド中に響き渡るド直球な歓声。


【フラグ立った】

【RPGで最初に来る町、絶対こうなる】

【ナンパされるぞこれ絶対】

【イケメン出せ!澪ちゃん守れ!】


(守るのは自分です……!)


 澪はビクビクしながら受付に向かう。そこには金髪で小柄なエルフ風の受付嬢が待っていた。


「ようこそ、冒険者ギルド《エルタス支部》へ。旅人さん、登録ですか?」


「は、はい……初めてで……」


「大丈夫です。お名前と簡単なスキルを教えてください」


「えっと、名前は……ミオ・シルヴァで」


 (本名そのままは危ない気がするから、適当にファンタジーっぽくした)


「“光魔法適性・高”とありますね。かなりの素質です。魔法学院の推薦状をもらえるかもしれませんよ?」


「え……!? いや、そんな、私はただの……」


 (ちょっと魔法出たくらいで推薦ってこの世界基準どうなってんの!?)


【澪ちゃん天才バレるの早すぎ】

【魔法学院編来るぞー!】

【また嫉妬ライバルが生まれるパターン】


「では、早速ですが初仕事のご案内を——」


 と、そこへ。


 ガチャッとギルドの扉が勢いよく開いた。


「いたか!? 銀髪の美少女がここにいると聞いたんだが——」


 現れたのは、豪奢な白いマントを翻す金髪の青年。


 整った顔立ち、堂々とした雰囲気——どう見ても、王子様。


「……は?」


「やはり……君が、銀の姫か」


「誰が姫ですかああああああああああ!!!??」


【出た王子!フラグ建築士来たぞ!】

【澪ちゃんツッコミ安定すぎて笑う】

【この人絶対レギュラー化するw】

【王子のくせにノリが軽いwww】


 澪の異世界生活、そしてさらにバズっていく配信生活は、まだ始まったばかりである——。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ