03 試射
魔灸の森の南部は普段と違う狩場ですので、慎重に進みます。
今回は狩人としての僕の能力確認も兼ねてますので、
魔導具『Gふなずし』での『探索』は禁止。
自身の気配は極力消して、周囲の気配に最大限に意識を向ける。
つまりは、いつも通りの狩人モード。
ーーー
…………獲物、発見。
魔うさぎ×1、成体、食事中。
アイツは臆病な魔物なので、察知されないように可能な限り遠距離からの狙い射ち推奨。
狩るのはそこそこ難しいけど、美味しいので獲物としてなかなかの人気。
クセのないお味で、シュレディーケさんも大好き。
今の距離は、僕が普段使っている弓の有効射程ぎりぎり。
新弓の試射の初弾、相手にとって不足なし。
それじゃ、いきますか。
構えて……狙って……
・ ・ ・ そいっ、
命中!
っていうか、ナニコレ、
射線を目で追えないって、どんだけ早いんだよ、魔法矢。
アリシエラさん、マジで仕事し過ぎっ。
って、ちょっと待った、
魔うさぎ、どこ行った?
確かに命中したよね、
獲物にヒットした魔法矢がハジける光のエフェクトがめっちゃキレイだった……
あーなるほど、
あの瞬間、魔うさぎもハジけちゃったのね。
近寄ってみると……
うわっ、まさに爆散、
小さな魔うさぎが大惨事ですわ、コレ。
お肉、ミンチも残ってないって……
これ、人に向けて射ったらダメなヤツ。
威力調整、めっちゃ難しいです。
いろいろなやり方で試射して、加減を調節できる様にならないと。
アリシエラさん、マジに仕事し過ぎ……
ーーー
狩りは、いったん中断、
魔導弓の威力調節の練習が急務。
いつもの弓の最大射程の半分くらいの距離にある岩に向けて、
射つべしっ、射つべしっ、射つべしっ。
ふむ、だいぶ加減が分かってきましたよ。
持ち手の上下にあるインジケーター、
上は、魔法矢への魔素チャージ量、
下は、本体の高圧縮魔素貯蔵具の残存魔素量。
どのくらいチャージすれば、どれくらいの威力なのか、
こればかりは僕が実射で確認しないと。
アリシエラさん、さっきは難癖つけちゃってごめんなさい。
だよねえ、魔うさぎへのチャージ矢、めいっぱいチャージしちゃったもん、
そりゃあ爆散しちゃうよ。
ごめんね、魔うさぎ。
獲物を粗末にするなんて、狩人失格だよ、僕。