22 道
あれから皆さん、いろいろあったりなかったり。
僕が言えるのは、みんなとっても元気だってこと。
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チュースさんは、チューリス村の通いの村長さんとして、日々大忙し。
例の『転送』魔導車両『シミドーフ』だけではなく、
サイリさんの『ロージー』に同乗して、
チューリス村やケルミシュ村、エルサニア王都など、各地を飛び回っています。
もちろん、これまでのお仕事も手を抜かずに。
いとしのエリスさんといっしょに、家庭菜園のお世話の方も、余念なく。
小さな身体に大きな責任感、そしてもちろん優しい心。
大人の男の頼れる仕事っぷり、僕のような若輩にはとても参考になるのです。
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アリシエラさんは、魔導具開発の道を鋭意爆進中。
『ナマハゲ』の後継機の方はひとまず保留だそうで、
今は『翻訳』魔導具の改良に夢中。
魔物以外の、普通の動物との円滑な意思疎通を目指しているのだとか。
もちろん、とびねずみさんたちの件でもあるのですが、
実は、例のススケ鳥がロイさん宅の屋根の上に住み着いちゃって、
なんとかコミュニケーションを取ろうと悪戦苦闘中なのです。
ちなみに、僕はあの鳥からめっちゃ嫌われております。
生き返ったとはいえ、1回アレしちゃいましたから……
でも、相当に臆病な鳥のはずなのに、何であんなにリラックスしてるんだろ。
やっぱり、ロイさんのお宅特有の独特な雰囲気による居心地の良さのおかげなんだろうな。
屋根の上だけど。
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ヴァニシアさんは、シュレディーケさんにライバル宣言!
境遇が似ている(元)姫騎士同士、これからもいろいろと競い合う相手として認め合ったってことのようですが……
どうやら先に新妻されちゃったのが相当悔しかったみたいだよ、
と、こっそりロイさん情報が。
とりあえず、我が家のお庭は狭いので、激しい組み手はご勘弁。
いや、待てよ。
お庭が狭いからこそ、おふたりの激しく躍動するお姿を間近で見れちゃうわけで。
いや、本当スゴいんですよ、目の前で躍動……
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シュレディーケさんは……今は育児書に夢中です。
例の『エルサニア城下街勤労女子婦人会』
通称『エル女会』から貰ってきた育児書ですね。
僕もいっしょに読んで勉強したいのに、なぜか見せてくれません。
「先輩ママさんたちの親身な指導、とても参考になる」
「特に、一部の指導者の方の熱心さは、怖いくらいだ」
僕もいっしょに『エル女会』に行って勉強しようかな。
「済まない、フォリスさん」
「あの会は、基本男子禁制なのだ」
「この育児書を夫に読ませることすら禁止されている」
「もちろん、やましい事など何も無い」
「ただ、今しばらくはこれに集中させて欲しい」
シュレディーケさんがやりたいことをがんばって、楽しく穏やかに暮らしてくれれば、それで良いのです。
でも、夫婦でいっしょに子育てっていうのに、ちょっと憧れちゃうわけで。
もちろん勉強もがんばってほしいけど……
「本当に済まない」
「訳あって、今は説明も言い訳も出来んのが、もどかしい……」
……待ってますから。
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人生を道に例えると、同じ方向に向かって歩んだり、手を取り合ったりする機会が多いのが、夫婦や家族、恋人や友人。
でも、いつもべったりいっしょってわけじゃない、
だって人間同士、いろいろあるもの。
いっしょに暮らす間柄であればこそ、
相手との距離感とか、バランスとか、
難しいです。
独り身の頃は考えもしなかった、こういう悩みごと。
幸せな悩み、とでも言うのかな。
いや、以前ロイさんから聞いた言葉の方がしっくりくるかも。
確か、『祝福の呪い』……
あとがき
いよいよこの世界に染まり出したフォリスさん、
いつもの"同居乙女増量系主人公"の方向に進まないことを願いつつ、
自由気ままに、ご夫婦仲睦まじく暮らしてほしいです。
つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。




