18 出自
突然さらりともたらされた衝撃的な内容のアレコレ。
その全てを語ってくれたヴァニシアさんがリグラルト王家に愛想を尽かした理由は婚姻絡みではありませんでしたが、
当時のリグラルト王家が実にアレだったことがよく分かるアレな内容でした。
ただ、それを聞くと、里帰りした時にマクレルガさんからこっそり教わった、
シュレディーケさん、いや、ツァイシェル姫さまの出自にまつわるお話し、
どうしても思い出してしまうのです。
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ツァイシェル姫さまのお母さまのツァイシェリア様、
故国エルサニアでは、継承権問題などのせいであまり恵まれた境遇では無かったそうです。
その上、突然リグラルト王家に側室として嫁がされることに。
それでも、王家に生まれた者の務めを果たそうと、嫁ぎ先のリグラルト王家で気高さと誠実さを武器に励んだツァイシェリア様。
後宮内での嫉みややっかみなどものともせず、めでたく御懐妊。
王家の慣わしによる魔導検査によると、お腹の子は女の子。
この子のためにも、より一層この国のために尽くそうと思いを新たにした矢先、
なんと、まだ生まれてもいない娘の嫁ぎ先を勝手に決められてしまう。
しかも相手は、よりにもよってタリシュネイア王国の貴族。
タリシュネイアのヴァンパイアが他種族との婚姻で望むのは"血統"
もちろんロマンスによる婚姻の例も過去にはあったが、まだ生まれてもいない我が子を望むのは、間違いなく"血"が目当て。
ツァイシェリア様、激昂。
あなた方が我欲で好き勝手なさるなら、私もなりふり構わず我が子を守る。
エルサニアから付き従ってくれていた信頼出来る唯一の従者、護衛騎士のマクレルガさんの手引きで城を抜け出し、
数少ない協力者が用意してくれた強固な守りの広大なお屋敷で、誰にも悟られぬよう密かに暮らすことに。
その後、お産まれになったツァイシェル姫さま。
早くに母のツァイシェリア様を亡くされましたが、マクレルガさんを父と慕って、真っ直ぐすこやかに成長。
そして、現在。
なんといいますか、波瀾万丈。
縁あって生涯を共にと誓った僕にできることは、
シュレディーケさんが平穏な人生を過ごせるよう、
優しく寄り添うのみ……




