16 万感
朝、気合い万全、準備万端、
ルルナさんに手を引かれていくシュレディーケさんをお見送りしてから、
『ゲートルーム』でロイさんのお宅へ。
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「おはよう、フォリス君」
「ごめんね、リノアとアリシエラが無理言っちゃって」
おはようございます、ロイさん。
無理だなんてとんでもないです。
ススケ鳥とアグラタケを手に入れるための冒険の旅、
すっごく楽しかったんですよ。
もちろん、アリシエラさんの魔導弓も、最高でしたっ。
「楽しんでもらえたようで何より、だね」
はい、でも本当のお楽しみはこれからですよっ。
満を持して、アリシエラさんの新作魔導具『ナマハゲ』、推参!
「これが『ナマハゲ』だね」
「入れたものを今までの『収納』庫以上に大切に保存してくれる『収納』バッグ、だっけ」
はい、その真価は、まさに今日のお食事会で発揮されるのですっ。
「何だか随分とテンションが高いようだけど、何か良い事あったのかな」
むふ、良いことは今日これから、このロイさんのお宅で巻き起こっちゃうのですよっ。
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ロイさんのご家族、お庭に揃い踏み。
期待にワクワク顔の皆さんを見ていると、
今回の旅の諸々の思い出と共に、胸の奥から熱いモノが込み上げきます。
もちろん興奮は胸の奥に秘めたまま、はしゃいで騒いだりせず、静かにその時を待つのですっ。
お待たせしました、リノアさん。
ご注文のススケ鳥、ばっちりゲットしてきましたっ。
しかも結構な大物、ご家族全員大満足の大満腹な食卓となること、間違いナシッ。
お騒がせしてすみません、セシエリアさん。
ゼシカさんそっくりな眼鏡美人さんのクールなお顔が、あまりの美味しさにとろけちゃう様子、存分に拝見させていただきますっ。
ごぶさたしてます、ヴァニシアさん。
うちのシュレディーケさんに勝るとも劣らないそのわがままボディが、感動でぷるぷるぷるりと打ち震えるお姿、じっくりねっとりガン見しちゃいますよっ。
そして、アリシエラさん。
今日の獲物の全てを味わう権利は、『エクスカリボウ』の生みの親であるあなたにこそふさわしいのですっ。
存分にご堪能あれっ。
「えーと、フォリス君が凄く感無量って感じの表情で無言のまま固まっちゃってるんだけど、準備は出来たようだし、そろそろバッグを開けても良いかな」
もちろんですとも、ロイさんっ。
バーベキューグリルも炭火も調味料も準備は万端。
リノアさんたちご自慢の副菜とデザートもテーブルに満載。
後はメインディッシュのススケ鳥とアグラタケがコラボレーションするのみっ。
では、『ナマハゲ』オープン!




