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10 交流


 私には仲間たちの気配が分かるみたいですという、


 頼もしいチュースさんの案内に導かれるまま僕たちがたどり着いたところは、


 人は中には入れないような小さな洞穴。


 そしてそこには、めっちゃ大勢のリグラルトとびねずみさんたちが!



 ーーー



 チュースさんが、とびねずみの皆さんと交渉してくれました。


 そしてすぐに交渉が成立。


 チュースさんの誠心誠意の説得が、とびねずみの皆さんの心に届いたようです。


 いや正確には、とびねずみさんたちがチュースさんを王として認めてくれた、なのかな。




 昔々、普通のとびねずみだったのに、わけあって魔物となってしまったチュースさん。


 人とコミュニケーションできるほどの高い知性と、元の大きさの2倍近い体格の立派な身体を得ました。


 そのおかげでチュースさんは、とびねずみさんたちから王として崇め奉られるには充分すぎるほどの風格と威厳をお持ちなのです。


 もちろん、お会いすると誰もが感じる溢れんばかりの優しさも、交渉成立の決め手ですね。



『どうしましょう、皆さん……』


 チュースさんって、優しくて賢くて面倒見が良い方ですし、


 良き王として統治君臨してくれそうですよね。



『私ごときが、王だなんて……』


「とりあえず、お仲間さんたちとこれからどうするのかを話し合ってもらえないかな」

「どうやらチュースさんの言うことなら、とびねずみのみんなは耳を傾けてくれそうだし」


 さすがアランさん、冷静ですね。



「いや、駆除とか討伐は嫌ってだけだから」

「せっかくだしチュースさんに頑張ってもらおうっていう、基本的に他力本願なんだよね、俺」


「流石はアラン様、自らの手を汚さず、出来るだけ楽をしながら依頼を完遂しようというその姿勢、いつもながら感服です」


「酷いよ、ゼシカさん……」



 うわっ、ゼシカさんからのキッツいお言葉に、めっちゃうれしそうですよ、アランさん。


 本当に良い関係なのですね、おふたりは。


 まさに余人には真似のできぬ境地と間柄、


 このフォリスも、感服です。



「ご主人さまっ、フルリにとびねずみさんたちが群がってきたのですっ」



 あらら、後ろの方でおやつをぽりぽりしながら見学していたフルリさんに、


 とびねずみの皆さんが飛びついておねだりしてますよ。



 まあ、仲良くしてあげてくださいね、フルリさん。


 こういう場では空気を読むってことが大事なのです。


 そう、それすなわち"TPO"


 いえいえ、"とっておきのぽりぽりしたいおやつ"の略ではありませんよ。



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