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二泊三日異世界の旅   作者: 燻製ちくわ
第一章 最初の転移者
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最初の転移者ー6

「コケコッコー」


鶏のかけ声とともに朝が来た。 隣を見ると優愛ちゃんが可愛い顔で眠っていた。昨日、寝ている時に優愛ちゃんのことばかり考えていた。 どんな学校に通っているのか、もしかすると彼氏はいるのかそんなことばかり考えてしまった。 昨日までは無事に帰れるのかだけで頭がいっぱいだったのに、無事帰れそうになっただけで考えることが優愛ちゃんの事だけで頭がいっぱいになってしまうのだから、どうなんだろうと思う。 優愛ちゃんが僕の事をどう思っているかは分からないけど、悪くは思っていないと思いたい。 そして、日本に帰れた後も優愛ちゃんと仲良くなって、いつの日か優愛ちゃんを彼女にしたい。 そんなふうに優愛ちゃんの寝顔を見ながら思ってしまった。 まずは、日本に戻っても連絡が取り合えるように携帯番号を聞くことが目標だ。 日本でなら、その場でスマホで連絡先を交換出来たかもしれないけど、僕も優愛ちゃんも今はスマホを持ってない。 それどころか連絡先をメモして持ち帰ろうにも持ち帰れないかもしれない。 気合で番号を覚えるしかないなと思いつつ、大切なのは優愛ちゃんから今日中に連絡先を聞き出すことだ。 日本に帰った後、優愛ちゃんとデートしている妄想をしていたら、優愛ちゃんが起きてきた。


「おはよう。隆行君 なんかにやけているけどどうしたの。」


妄想中だったのが思いっきり顔に出ていた。 これはかなり恥ずかしい。 何でもないよとごまかしつつ顔を洗って朝食としてパンを一つずつ食べた。 そして、しばらくするとロックが宿の前にやってきたようだ。 窓をあけて少ししたら行きますと言うと、優愛ちゃんといっしょにリュックサックを背負い宿の外に出た。


「優愛ちゃん、隆行君、おはよう。 今日は何かやりたいことなどはあるか?」


優愛ちゃんのほうは何かありそうなわけではなさそうだったので、


「アローボードの町をいろいろ案内してほしいです。」


そういうと、


「了解だ、まずはどこから行く。」


そう聞かれたので、僕と優愛ちゃんが同時に


「まずは何か食べたいです。」


そういった。 たしかにパン1個じゃあ足りないからね。 こうして、近くの露店で串焼きを購入して、食べながらアローボードの町を見て回った。


町にはパン屋さんや野菜や果物を売る店、日用品を売る店がある町に住む住民が買い物に来る通りと、主に旅の商人などが買い物に来る通りがあるようだったが、飲食店や旅に必要なものが売られている通りの方を見て回った。 町の感じは産業革命前のヨーロッパのような街並みだったのだが、剣とかロープやリュックなどが置いてあるお店が気になったのでロックに聞いてみた。


「ここは何のお店ですか?」


そう聞くと、


「ここは、ダンジョンを攻略するのに必要な物が売っている店だな。 ここで装備や食料品などを売っているお宝求めて一攫千金を狙う人たちの店だ。 ここの近くにダンジョンもあるしな。ただ、そういう人達は素行の悪い人や犯罪者紛いの人もいるから気を付けた方がいいぞ。 まあ、君たちはダンジョンに行くことはないだろうからこっちの方を見て回ろうか。」


そう言って露店が並んでいる通りの方へ誘導してくれた。 こっちの世界にはダンジョンやトレジャーハンターがあるのか。興味が引かれるけれども、気にしないようにして露天のならぶ方に向かった。


露天にはドネルケバブのような食べ物を売っている店、お皿とかコップが売っている店、アクセサリーが売っている店など小さなお店がたくさん並んでいた。


「こういうふうに露天を見て回るのって楽しいね。」


そう言って優愛ちゃんは色々なものに興味を持ちながらすべての店を見るような勢いで見て回っていた。 少し優愛ちゃんと離れた時にロックが、


「夕ご飯にレストランを予約してあるんだ。 その費用で金貨2枚を今もらえないか?」


そう言ってきたので、何もいわず金貨2枚を差し出した。


「ドレスコードあるけど、多分この服なら大丈夫だと思うぜ。 飯も雰囲気も期待を裏切らない所だから心配しないでくれ。」


そう言い金貨を受け取っていた。 ドレスコードですと。今までドレスコードのあるお店など入ったことが無い。学生服同士の学生デートと言う感じだけど、入る前に入店拒否されないだろうか?それに、レストランに入った後に浮いてしまわないだろうか。ロックの言う心配とは別次元の心配をしていたら優愛ちゃんが、


「こっちに来て」


と手招きしていた。 それなので、優愛ちゃんのいる方へ行ってみるとそこは手作りな感じのアクセサリーが並んでいる店で、どれがいいか手に取ったり着けてみたりしていた。


「ねえ、どっちの方が似合うかな?」


薄い紫の石を使った首飾りとオレンジ色の首飾りの二つを持って聞いてきた。 店員に何の石なのか聞いてみると紫の石はムーンストーンでオレンジの石はトパーズらしい。僕は、紫の石の首飾りのほうがいいなと思ったので、


「こっちの紫の石の首飾りのほうが可愛いと思うな。」


そう言うとにっこり微笑んで、


「この首飾りを下さい。」


そう言って購入して、早速首飾りを着けていた。 僕も優愛ちゃんに何か買ってあげたくなって、


「何かほしい物買ってあげるよ。」


そう言うと、さらに眩しい笑顔になって、


「ホント ありがとう。 せっかくだから二人で選ぼう。」


そう言って、指輪がいっぱい並んである方に行き、石の色や大きさを見比べながら時間をかけて選んだ。 そして、緑色の小さな石がはめこまれた指輪に決めて、それを僕が購入した。 こういう時って買ってあげた指輪をその場で指にはめてあげるのが礼儀なのかなと漫画などから得た知識により思ったので、


「優愛ちゃん、ここに座って小指をだして。」


そう言うと優愛ちゃんは小指をだしてくれたので、そこに購入した指輪をはめてあげた。 そうすると、顔を赤くしたまま、


「隆行君。 これじゃあ恋人同士だよ。」


うれしそうな、恥ずかしそうな声で言った。


「でも、ありがとね。 ずっと大事にするよ。」


そう言ってくれたけど、今、買ってあげた指輪は日本に戻る時に消えてしまうのでは無いのだろうか。 旅のしおりにこの世界で手に入れたものは基本的に持ち帰れないと書いてあったし。 その事を伝えると、


「もし、買ってくれた指輪は消えちゃったとしても、指輪を買ってもらったこのうれしい気持ちは残ってるよ。」


そうなのだ。 ここから、元の世界に戻った時に持ち帰る事が出来るのはおそらく思い出だけなのだろう。 でも、それで十分じゃないか。 異世界に転移させられるということがなければ、こんな可愛い子といっしょに行動するなんて絶対無かったし、転移してきてから経験したことがないことばかりなのだ。そう思っていると店の外からロックが


「そろそろ買い物は終わったか?」


時間の感覚が無かったけど、どうやらかなり待たせてたらしい。 申し訳ないです。


露天で買い食いをしたりアクセサリーなどを見て回っているうちに、日が暮れ初めてきた。 楽しい時間はすぐにすぎていくもののようだ。 そこで、ロックが


「レストランにいくから宿屋に戻るぞ。」


そう言った。確かに高級そうなレストランに行くようなので、その前にお風呂には入っておきたい。 そんなわけで宿屋に戻るのだった。




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