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二泊三日異世界の旅   作者: 燻製ちくわ
第一章 最初の転移者
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最初の転移者ー5

ロックに案内されて、宿屋の前にやってきた。 そこは二階建ての大きな建物で、地方の温泉宿にある比較的高い宿みたいな作りだった。 結構高いのではないだろうか? そう思っているとロックが


「ここがこの町で一番いい宿屋だからここに泊まるぞ。 自分はもっと安いところに泊まるが、二泊するのに金貨1枚ずつあれば十分だ。 なので、金貨を合計2枚俺に渡してくれ。 おれは二人の宿へ泊まる手続きを今からしてくるから少しだけ待っててくれ。」


僕と優愛ちゃんがロックに金貨を渡すと宿屋の中に入っていった。少ししたら、手続きが終わったようなので宿屋の中に入ったいった。


僕と優愛ちゃんは、何部屋かのうちの一番奥の部屋に案内され、その部屋に入ってみると、その部屋は大きな問題があった。 部屋の広さ、綺麗さはいい。景色もいい。ただ、問題はベッドが一つしかないのだ。 何をしてくれるんだロックは。急いで店員にベッドが二つの部屋に変えてもらうように言いに行こうとすると、


「私は床に寝るから大丈夫だよ。」


いや、優愛ちゃんが床に寝るだけは無い。 そんなわけで、店員に理由を言って、無事ベッドが二つある部屋に変えてもらう事が出来た。 また、ここは旅人が使う宿なので、常に体を洗うお風呂が使えるらしかった。

それを聞いた優愛ちゃんは小さくやったーと言い


「早速おふろに入ってくるね。」


そう言いお風呂の方に向かっていった。 僕もロックに文句を言ってこないとと思い、宿の外に出た。


宿の外に出るとロックがいた。 こうなることを予想してたなと思ったが、


「なんでベッドが一つの部屋をしれっと取っているんですか。 これだったら僕が宿を取ったほうが良かったですよ。」


そう言うとロックは


「いやいや、ここは一見さんは泊まれないから、僕が部屋を取らなければ宿泊出来なかったよ。それに優愛ちゃんともっと仲良くなるためにどうすればいいか一生懸命考えた結果このようになったのだよ。むしろ感謝してくれると思っていたのに残念だよ。」


こいつわざとベッドが一つの部屋にしたな。


「それだったら、自分が元の世界に帰るときにもう一つの薬を渡すのを無しにしますよ。」


そう言うと


「ごめんなさい。」


そう言って謝った。


「じゃあ、僕はいつも使っている宿に荷物を置いてくるからしばらくゆっくりしていてくれ。 そしたら、この町を案内するよ。薬の代金分以上に誠心誠意ガイドするから大船に乗った気持ちで部屋で待っていてくれ。」


そう言ってロックは去っていった。 泥船に乗った気持ちで部屋に戻るとちょうど優愛ちゃんが戻ってきたところだった。 優愛ちゃんはお風呂に入ったあとだからなのか薄着だし、石けんの匂いがして目のやりどころに困ってしまう。 よく考えたらお金は十分にあるのだから部屋を二つにしてもらうべきだった。そんなことを考えていると、


「ロックと出会えて本当に良かったね。 異世界に来て、まさかこんなゆっくりお風呂に入れるとは思わなかったよ。 それに、おいしい夕ご飯も食べさせてくれるようだし ありがたいね。」


なんだか、ロックに対する評価がかなり自分と違うようだ。 僕が最初のベッドが一つの部屋にしたことを言うと、


「そんなの些細な事じゃないかな。 ロックに会わなければ、お腹をすかしながら巡礼小屋で寝泊まりしていてのだから。 それに比べれば天国だよ。 隆行君もお風呂に入ってくれば? とっても気持ちいいよ。」


言われてみればその通りだ。お風呂に入ればロックへの感謝の気持ちもわいてくるのかなと考えつつ、お風呂に入りにいった。


お風呂を出て部屋に戻ってみると、優愛ちゃんはベッドで眠っていた。 寝顔が可愛いなと思いつつ自分も昨日あまり寝れていないせいか急激に眠気が襲ってきた。 なので、ロックを待たせることになるかもしれないけどまあいいかと思い僕もベッドで横になったら、すぐに寝てしまった。


優愛ちゃんに起こされて目をあけたら、空は大分暗くなっていた。 結構な時間寝てしまったらしい。


「ロックが待ってるよ。 お腹もすいたし、早く外に行こう。」


僕も起きた後、リュックサックを背負ってロックの待つ外へ向かった。


「来るのが遅かったじゃないか。ナニをしていたんだい。」


ロックがナニか二人で行為をしていたのではないか。 と言うような感じで聞いてきた。そんな事してねーよと思っていると優愛ちゃんが


「二人仲良く寝てて遅くなってしまいました。」


めちゃくちゃ勘違いされそうな事を言った。 ロックはもうエッチした後だったのかみたいな目で僕の方を見てきたので、その後優愛ちゃんが


「二人仲良くと言うのは、二人とも疲れていたからそれぞれのベットで寝てしまったと言う意味だからね。」


と、慌てて弁明していた。 ロックがゴホンと軽く咳払いをすると、


「それじゃあ夕ご飯に行くからから着いてきてくれ。」


こうして、ロックのおすすめのお店に行くのだった。


ロックのおすすめと言っていたお店は、外観からお店の中に至るまで異世界にあるギルドと酒場と言う感じのお店だった。 優愛ちゃんも


「なんか、アニメに出てくる酒場みたいな場所だね。」


感想はどうやらいっしょだったらしい。 ともかく、何がおすすめなのか全く分からないので、ロックにすべておまかせすることにした。


「飲み物はどうするのだ? お酒とジュースどちらでも出来るがどうする?」


そう聞かれたので、僕も優愛ちゃんもジュースにした。そしたら、ウェイターさんが飲み物を持ってきてくれた。 このウェーターの服装がド○キホーテに売っているような安っぽいメイド服のような格好だった。 世界観がごちゃごちゃだなと思いつつジュースを飲んでみると、リンゴジュースの炭酸割りみたいな味ですっきりしておいしかった。 その後大皿にサラダ、それぞれにパン、ポタージュみたいなスープがきた後に、大きなステーキがやってきた。 食べやすいようにあらかじめ一口大に切ってあり食べて見ると、味も見た目通りの美味しさで正しく牛肉のステーキだった。 日本でもなかなか食べられないレベルのご馳走に僕は黙々と食べてしまった。 食べている途中に優愛ちゃんは色々しゃべってくれていたらしいのだが、今までの質素な食事に対して、このすばらしいご馳走に気をとられてひたすら食べていると、


「ねえ、聞いてるの?」


と、怒ったような口調で言ってきた。ごめん まったく聞いてなかったです。 どう答えていいか無言になってしまったところにロックが助け船をだしてくれた。


「僕が紹介してくれたところが気に入りすぎてしまったようだ。このようなお店に連れて行ってしまいホント申し訳ない。 けど、食べることに夢中になってないで、女の子の話はちゃんと聞く物だぞ。」


本当にその通りだ。 けど、僕はいつの間にこんなに可愛い子と一緒に食事をしているのに、ステーキの方に気が取られるようになったのだろう。自分の適応能力にびっくりしていた。なのでなのか、自然と優愛ちゃんに対してこんなふうに言えた。


「ご飯の方に夢中になってました。ごめんなさい。 」


最後にデザートとして、アップルパイが出てきた。 見た目通りの味と美味しさで、舌もお腹も大満足でロックに宿屋まで送ってもらい、部屋に戻った。 後はおふろに入って寝るだけなのだが、ふと72時間が経過するとゲートが現れるとしおりに書いてあったが、どんなふうに現れるのかと思い優愛ちゃんに、


「ところで、時計では残り34時間半になっているけど、残り時間がゼロになってゲートが現れると言うのはどういうふうになるのでしょうね。」


そう聞くと、優愛ちゃんは


「あれ、私の時計は残り35時間になってるよ。」


そう言った。優愛ちゃんの腕時計を確認すると液晶には35:02と書かれていた。僕より25分遅くゲートが開くらしい。 なぜそうなったのか思い返してみると、リュックサックを手にした時にアラームが鳴り、そこから72:00になっていたから、僕よりリュックサックを取るのが遅かったからその分だけゲートが開く時間が遅くなったんだろうと推測した。


「絶対に私のゲートが開くまで待っててよね。そして、二人いっしょに帰ろうね。」


「もちろん待ってますよ。 ゲートも開いてから一時間開いていると書いてありますし。 それより、僕のゲートに間違って入らないでくださいよ。 そしたら、僕が帰れなくなってしまいますから。」


「それは絶対にしないよ。二人とも無事で帰ろうね。」


そう言い、小指をたてて左手を差し出してきた。 なんだろうと思っていると、


「指切りしよう。隆行君も手を出して。」


そう言われたので僕も小指をたてて優愛ちゃんの小指と絡めた。


「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます 指切った。」


優愛ちゃんはそう言って絡めた指を離した。 なんだか恋人同士がやるようなことに内心ドキドキしながらも、必ず二人で帰ろうと心に決めた。 そして、お互いお風呂に入り、荷物を確認した後それぞれのベッドに入り、二日目は終わるのだった。





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