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二泊三日異世界の旅   作者: 燻製ちくわ
第一章 最初の転移者
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最初の転移者-1

内田隆行の話


朝 目を覚ましたら草むらの上で寝ていた。 周りを見渡したら、一面の草原だった。 一体なにが起こったというのだ。 本当に夢としか思えないことが起きると、人は頬をつねってみてしまうみたいだ。なんとなく頬をつねってみた。 ちゃんと痛かった。


混乱する頭が落ち着いてきたら、昨日の事件を思い出した。カミルと言う者が、16歳の誕生日を迎えた人を異世界に転移させると言った内容だった。 とてもじゃないけど信用できる話では無かったし、大規模ないたずらだとおもわれたが、運が悪いことに明日が16歳の誕生日だった。自分にはこれが本物だったらどうしようと思いなかなか寝付けなかった。 けど、気がついたら寝てていて、朝起きたらいつもどおりの家のベッドではなく、見たことも無い草原のど真ん中にいるのだった。


目を覚ましたら見たことも無い所にいるという事に、ようやく現実感が出てきた時に自分の服装もおかしな事に気づく。 たしか、寝たときは上下ジャージだったのに、今は高校の制服を着ているのだ。おまけに、きちんと靴下や昨日はいていた靴までちゃんとはいていた。おかげで草原を足を痛めることも無く歩けそうである。


それと、足下にリュックサックが落ちていた。 それを拾おうとしたときに右手からピーとアラーム音が鳴った。 結構大きな音で驚いたが右手の手首には腕時計がはめられていて、腕時計の液晶の表示が72:00から71:59になった。これは、昨日カミルが言っていた元の世界へ戻るためのゲートが開く時間なのではないか。液晶が00:00になれば自分の前にゲートが開くのかと思った。 あらためて目の前にあるリュックサックの中身を確認すると、コッペパンらしきパンとランチパックらしきパンが入っている。 ほかには何が入っているか確認しようとしたときに右のほうから声があがった。


「一体なにがおきているのよ」


かなり大きなこえで女の子の声が聞こえてきたので、リュックサックの中身の確認より先に右の方の草むらの方に入っていった。自分のいた場所から20メートルくらいのところに女の子はいたが、草の背が高いため近くにいくまでに姿は見えなかった。


「僕も何がおこっているか全くわからないよ。とりあえず、そっちに行くよ。」


そう言いながら草むらをかきわけて、女の子のところに向かい、目にしたのは、セミロングの髪に少し垂れ目がちな目、どこかの高校だと思われるブレザーとスカート、ハイソックスシューズシューズと冬服の高校の制服を着た自分より少し背が低いくらいのクラスで2番目くらいにかわいいと思うくらいの子だった。そして、自分の事を見たときに最初にでた言葉がこれだった。


「お、おはよう、ございます?」


おそらく、朝、目を覚ましたらどこだかわからないところにいて、少しの間呆然としていたのだろう。そして、知らない男の人が出てきたら、とりあえず挨拶しちゃったんだろうなと考えたが、自分もこの異常な事態に大分のまれていたのだろうと思う。


「おはようございます。」


なぜか、普通に挨拶を返していた。


「ところで、あなたは誰なの?それに、なぜ、制服なんか着てるの?」


自分も制服姿だと気づいてないらしい。


「あなたも制服を着ているのですが。」


そう言われて初めて自分が制服を着ていることに気づいたらしい。


「私、いつの間に着替えていたの。目をさましたらいきなり見たこともない景色だったから、しばらくは夢だと思っていたけど、いつまでたっても夢からさめなくて、試しに頬をつねってみたらちゃんと痛くてこれってまさか現実だと思い始めているところよ。」


やっていたことが大体自分と一緒だった。


「昨日の事件は覚えていますか?」


「もちろんよ。16歳の誕生日を迎える人をラーミア星に転移させると言ってたやつでしょ。それがこれだというの?」


「おそらくそうだと思います。」


そこで、目の前の女の子は少しの間、考えているしぐさをしたりしていたけど、意を決したようにこう言った。


「何が起きているのかまったくわからないけど、一緒に行動しない?一人より二人でいたほうが心強いし。それに、見た感じ悪いことできなそうだし。」


これは、僕がヘタレに見えると言うことなのかな? でも、二人で行動したほうがいいというのは賛成です。なにより、この子見た目が可愛いし。


「一緒に行動するのは賛成です。なので、まずは自己紹介をしませんか。 まず、僕から行きます。 名前は内田隆行うちだ たかゆき5月16日生まれで埼玉県川越市に住んでいます。 えっと好きな食べ物はウナギです。」


結構グダグダな自己紹介だった。


「めすらしー誕生日一緒だよ。」


いや、それ当たり前でしょ。 カミルは16歳の誕生日を迎えた人を異世界に転移させると言ってたんだよ。 同じ時に転移された人が誕生日が同じなのは必然でしょと思ったけど言わないでおいた。


「私の名前は舟山優愛ふなやま ゆあ好きな物はイチゴです。よろしくね。」


そう言ってこちらに手を差し出してきた。その手を握り返し握手をした。その手は少し小さくて、そして暖かかった。


自己紹介も終わったし、まずは自分の背負っているリュックサックの中身と目の前に舟山さんのリュックサックの中身を確認したいなと思ったので、


「まずは、自分と目の前にある舟山さんのリュックサックの中身を確認しませんか?」


そしたら、舟山さんは少し怒ったような顔で、


「その前にお互いの呼び方を決めたいな。私のことは優愛または優愛ちゃんと呼んでください。」


今まで女の子と話したことなどあまり無かったし、ちゃん付けで女の子を呼ぶことなどなかったのでかなり気恥ずかしい。 それでも、この異常な事態のおかげなのか、自分にしては挙動不審になることも無くいえたと思う。


「優愛ちゃんでいいかな」


「はい」


優愛ちゃんは笑顔で答えてくれた。この笑顔に多分じぶんは顔が赤くなっていると思う。 心臓もドキドキしている。女の子の笑顔はズルイと聞いたことはあるが、その意味がはじめて分かった気がした。初めて会う優愛ちゃんのちょっとした笑顔にこんなにもドキドキさせられるのだから。


「私はなんて呼べばいいかな?」 


自分の心臓のドキドキが全然止まらない中、優愛ちゃんに聞かれた。


「じゃあ、隆行君でお願いします。」


「たかゆき君、一緒にリュックを確認しよっか」


こうして、二人ともリュックサックを開けようとしたときに、優愛ちゃんの右手からピーというアラーム音がなり優愛ちゃんはびっくりした後に右手をみた。 そこには自分と同じ腕時計がはめられていて、時計の液晶が71:59になっていた。自分の腕時計を確認すると71:34になっていた。時間の感覚があまりないけど、じぶんが最初に確認してから30分たったということなのだろうか?


「びっくりした。 いきなり右手から大きな音が鳴るんだもの。腕時計をみたけど、71:59ってなっていたけど、これってここにいられる時間って事なのかな。」


「多分、自分たちが帰れるゲートが現れる時間なんじゃないかな。」


いきなりの大きな音で手が止まってしまったけど、それぞれリュックサックの中身を確認した。 中にはさっき確認したパン類のほかに、カロリーメイトみたいな物、パック分けされたハムみたいな物、缶詰が3個、水筒が一つ、ペッドボトルに入った水が一つ、刃渡り15センチくらいのナイフと小さな瓶にはいった薬、袋に入ったシートが二つ、そして、旅のしおりと書いてあり、その下に最初に読んでくださいと書いてある小冊子が入っていた。 隣にいる優愛ちゃんの方を見ると、リュックから中身を確認するために外の出していた。入っている物は自分と同じようだったが、ナイフの長さが自分のよりも10センチくらい長いようだった。 リュックサックの中身をお互い確認したときに、優愛ちゃんが、


「まずはお腹がすいたので朝ご飯にしませんか?」


と、とりあえず朝ご飯を提案したのだった。




 
















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