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警告  作者: 藤原 柚月
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怪奇現象

 あれから何事もなく日々は過ぎていき、一週間後。


 歩結姫との遊ぶ日。


 時間になっても来てないのでスマホを見ると、少し遅れるらしい。


 ちょっと時間に遅れて来た歩結姫。


 ゲームに夢中で遅れてきたらしい。


 私自身、考え事(奇妙な体験のこと)をしていたので素っ気ない返事をしてしまった。

 途端に歩結姫がムスッとしていたので(あっ、これはSNSでディスられる)と思ったが、特に私には何も言ってこないのでスルーした。


 その日は普通に雑談しながら食事して、そのまま解散になった。


 その日の夜。


 スマホのラジオを聞いていた。


 スカーレットが出ているラジオ。

 特にボーカルのミカは、普通の男性とはちょっと高い声でコンプレックスだった。だけど、コンプレックスを武器にしようと思い、頑張っている。


 声や顔が好みというのもあるけど、頑張ってるのを見ると私も頑張ろう。この人はすごいなって思う。


 私の憧れだ。ファンを大切にしてる姿勢や、努力してるのが伝わってくる。


 本当、素敵なんだよね。


 少し眠くてうとうとしながら聞いていたら、ノイズ音が流れてきた。


 ーーザザ……ザザザ…………ーー


 さっきまで眠かったのが嘘のように目が覚めた。


「ノイズ音」


 一旦、アプリを閉じて、再起動しようとした。だが、動かない。


「なんで?」


 何回も試みるが全然動かない。ずっとノイズ音が流れてくる。


 その音は、次第に大きくなって爆音のように聞こえてきたので耳を塞ぐ。


 音量を小さくしようにも、スマホをいじっても何も反応しないので耳を塞ぐことしか出来ない。


 ……なんなの、これ


 音がうるさくてイライラしてきた。


 この音をなんとかしないと、隣人に迷惑がかかってしまう。


 なんとかスマホを取ろうと手を伸ばしたら部屋の電気が消えた。


 いや、電気が消えたりついたりを繰り替えしている。


 途端に、胸が息苦しくなった。


 ドキドキっと鼓動が早くなる。


 冷や汗が頬を伝って下に落ちる。『怖い』と心の底から思う。


 過呼吸のように息が荒くなって、油断すると気を失うんじゃないか。


 気を失ったら、もう目覚めないような気がする。そう思って気を張った。


 フッと、音が止んだ。


 けどまだ電気が消えたりついたり……。


 スマホの真っ暗な画面を見たら、一瞬息をするのを忘れかけた。


 この不可思議な現象が続き、『怖さ』という気持ちが高くなっている。


 今になってホラー映画で幽霊がいるかもしれないのに振り向く気持ちが分かった。


 怖い、だけど……気になってしまうんだ。それは好奇心を刺激されてるのかもしれない。


 私は勢いよく後ろを振り向く。


 そこには誰も居ない。だけど、真っ暗な画面には老人の姿が写っている。


 電気が消えて一瞬真っ暗になれば当然のように何も見えないが、つくと、一瞬だけ見える。


 その繰り返しの状況の中、画面の老人を見る。


 その老人は私の祖母のようだ。とても優しい表情をしている。


 ゆっくりと首を左右に振っていた。


 それは、スマホを見るな?


 それともラジオを聴くなってこと?


 ダメだ。冷静に判断が出来ないし、悪い方にも考えてしまう。


 これは、祖母が私を恨んでるのか。


 寂しいから、私を連れて逝きたいのか。


 どっちにしろ、祖母が何かを伝えたいのは確かなのに、それが分からなくてイライラする。


「もう、いい加減にしてよ!」


 気がつくと、私は怒鳴っていた。


 なんでこんなにイライラするの?

 今までは、こんなにもイライラすることは無かったというのに。


 冷静になれない自分にも腹が立つ。


 その願いが通じたのか、電気が消えるのを止めた。スマホの画面には、祖母の姿が無かった。


 さっきのことをつぶやこうと思い、SNSを開く。


 ーーそして、ツイートを見て一瞬思考が止まった。


 ……分かりきっていたことだ。


 そのはずなのに。



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