表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
警告  作者: 藤原 柚月
3/7

突然の母の死

 ノイズ音がまだ耳に残っていたのだろうか?


 不思議なことに、前の出来事から今までノイズ音なんて聞こえなかった。


 ……どうして突然?


 心拍数が上がるのを自分でもわかる。それは、緊張や不安からよるものだろう。


 スマホのバイブルが鳴った。


 緊迫状態の中、心臓が止まるかも知れないぐらいに驚いた。


 思わず変な声が出てしまったが、歩結姫が眉間に皺を寄せて私を見ている。


 絶対SNSに書き込む顔をしている。それも心配してる文面じゃなく、私の悪口を書き込むだろう。


 私自身、見たくて見てるわけじゃなく、その悪口を見た子から心配したメッセが送られてくる。

 だから、気になって読みにいき……。


 悪循環に陥ってしまう。


 その繰り返し。


 こういうのを負の連鎖って言うんだろうな。見なきゃいいのに。って、何回も自分に言い聞かせてるのに.......。


 見に行ってしまう自分が嫌いだ。


 私は、スマホを耳元に持っていった。


「……もしもし」

 〈佐藤⠀茉依さんの携帯で間違いないですか?〉


 その声は、若い女性だった。


 聞いたことのない声だったから、セールス目的なのかもしれない。


 そう思って切ろうとしたら、次の言葉を聞いて何も考えられなくなった。


 〈落ち着いて聞いてください。佐藤⠀早織(さとうさおり)さんが突然の心臓発作で亡くなりました〉


 早織というのは、私の母親の名前だ。

 心臓発作?⠀なにかの冗談でしょ。


「あ……の……。あなたは?」

 〈失礼しました。早織さんの上司です。今……〉


 私は、病院名を聞くと歩結姫に事の詳細を軽く話して会計を済ませる。


 急いでカフェの外へ出た。


 病院は、歩いて一時間のところにある。


 こんな時に車があったら良かったのにと悔やんでも仕方がない。


 タクシーを拾う手もあるが、そこそこ田舎なためそれも難しい。


 どんな理由にせよ、免許を取らない自分が悪いのだから。


 走ったり歩いたりを繰り返しながら病院に向かっている途中、交差点の信号が赤になったので私は歩みを止めた。


 それともう一つ理由がある。


 それは、こっちをじーっと見ている老婆が居たのだから。


 私はその人を知っている。だって、実家の遺影で何回も見てるんだから。


「……おばあちゃん」


 祖母はただ黙って私を見ているだけ。しかも、とても優しい表情をしていた。


 信号が青に変わり、歩き出した。その間も祖母は私を見ているだけ。


 歩き出すことはなかった。


 不思議と怖さは一切無かったが、不思議な感覚になる。


 すれ違いざま、祖母を横目で見ると、穏やかな表情をしていた。


 通り過ぎたあと、勢いよく振り向くと祖母が立っていたはずの場所には誰も居なかった。


 ……なんなの?


 今はそれどころじゃない。早く病院へ行かないと。



 ーーーーーーーーーーーーーー


 二週間後。


 お通夜もお葬式も終わり、実家の整理や親戚の挨拶回りとかで忙しい中、やっと自分の時間が作れた。


 寝室でTVをつけながらコーヒーを飲みながら寛いでいた。

 座椅子の背もたれに寄りかかる。


 母の死因は心臓発作なのだが、原因が分からないらしい。


 本当に突然。なんの前触れもなくいきなりのことだったらしい。


 救急車を呼ぶ頃には息をしていなかったそうだ。


 ……あの時、祖母の姿を見たのは母を連れて行くため?


 そういえば、ノイズ音に混じって《死》とか聞こえたような。


 それって、母がもうすぐ死ぬことを意味していたとしたら?


「……そうだ!⠀おばあちゃんのラジオ」


 ラジオを流せば、なにかわかるかもしれない。













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ