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第27話 ギルドに戻ろう!

「ぐきゃあああああ!!!! ぐきゃあ!!!」


 元々殺傷力のある強風によって煽られた火矢と砂はアンデッドドラゴンの身体に幾つもの傷を作る。


 特に2つの翼はぼろぼろになっているため、これでもう空中に飛び上がって攻撃される心配はない。


 アンデッドドラゴンは慌てて魔力を消費し、傷を直そうとする。


 だが、それを待つ訳にはいかない。


「はああ! 光刃破斬剣フォトンディサイシィブ


 ミアのロングソードが淡黄色の光を発しながら輝き、光属性の付与された刃でアンデッドドラゴンの右足を切りつける。


 右足は吹き飛び、身体の支えが無くなったアンデッドドラゴンは転倒する。


「ぐあああああ!!!」


 アンデッドドラゴンはミアを燃やしつくそうと口から火を吐こうとした。


「させないよ!」


 そこへ、サラが突撃してくる。


炎熱強撃(ヘルファイア)!!!」


 彼女はアンデッドドラゴンの首を大きく殴りつけた。アンデッドドラゴンは火を吐くも、その軌道は大きく逸れる。


 アンデッドドラゴンはサラをしっぽで弾き飛ばそうとするも――。


「身体能力強化魔法付与!」


 僕は身体が許容する範囲で身体能力を向上させ、ショートソードで尻尾を切り落とした。


 本体から切り離された尻尾はぴちぴちと、まるで陸に打ち上げられた魚のようにのたうち回っている。


「行くぜぇ! 火炎牙突ファイアーファングディップ!!!」


 リオは炎を纏わせたロングソードを、まるで槍のように剣先を向け、アンデッドドラゴンの頭に刺し込む。


 ロングソードから燃え移った炎はアンデッドドラゴンの頭部全体に燃え広がり、アンデッドドラゴンは咆哮をあげながら消滅した。




 ◆❖◇◇❖◆




 アンデッドドラゴンの闊歩していた広間を抜け、地上に向かう。外に足を踏み入れた途端、あまりの眩しさに思わず目をしかめる。


 じめじめとした遺跡やダンジョン内とは異なり、熱風も頬を撫でてくる。


「はぁ。地上の空気は美味しいねぇ」


 リオが噛み締めるように、大きく呼吸をする。他のメンツ、特に『紅蓮の風』のメンバーたちも安心しきった表情をしている。


 それはそうだろう。何しろ彼らは僕たち『雷光の追放者』よりも長い間ダンジョンに閉じ込められていたのだから。


「さて、ようやく脱出できたものの、ここはペレ砂漠のどの当たりなんだろうな」


 周囲のほとんどは砂ばかりなだけあって、判断するのが難しい。


「あっちの方に小さな湖? が見える。砂塵が吹き荒れてて見えにくいけど、もしかしたら私たちが夜営したところかも」


 クラリッサが東側を指さしながら答える。どうやら遠見の魔術を使っているようだ。


「ふむ。ならまずはそこに向かおうか。飲み水とか食糧の調達もできそうだし」


「ちょっと待って〜。それよりも、まずはみんな白魔法で浄化させないと。あれだけ瘴気を浴びたままなのはまずいよ〜」


 アンデッドドラゴンと戦ったせいか、僕らの身体には結構な量の瘴気が付着しているらしい。さっきから身体がだるいのはそのせいか。


 僕らはまず、エマから白魔法で瘴気を取り除いて貰うことになった。



 ◆❖◇◇❖◆



「いやぁ、『紅蓮の風』が全員無事で良かったよ。あんたが冒険者に復帰してくれたとはいえ、ミスリル級冒険者パーティを失うのは痛いからねぇ」


 ギルド長のマイヤー師匠が朗らかに微笑む。ペレ砂漠から帰還してきた翌日、僕ら『雷光の追放者』たちはギルド長の執務室に居た。


 無事にオアシスに辿り着いた僕たちは、来た道を戻るようにしてペレ砂漠から抜けだす事ができたのだ。


「それで? 僕たちだけをわざわざ呼び出したのはどういうことなんだ?」


 そう。ここにリオたち『紅蓮の風』のメンバーは誰もいない。なにせ、彼らは長期間ダンジョン内に閉じ込められていたからな。


 全員疲労も溜まっていたので、ペレ砂漠で何があったのかの細かい報告は後日することになったのだ。今頃自宅で療養している頃だろう。


「いやいや、今回の件でレオンたちにはちょっとした報酬を渡そうと思ってねぇ」


「依頼料なら、既に受け取っているのだけれど」


「報酬金とは別さ。なにせ、『雷光の追放者』にはまだ等級がないし、レオンの坊や以外にも個別の冒険者ランクは持っていないだろう?」


 ここの冒険者ギルドには、パーティ全体としての等級と、個別に付与される冒険者ランクの2種類がある。


 パーティ全体の等級と、個別の冒険者ランクも同じで、上からオリハルコン、アダマンタイト、ミスリル、金、白金、銀、銅といった感じだ。


 これらの階級は、冒険者登録したての冒険者やパーティには与えられない。何度か冒険者として依頼をこなすことで、ようやく付与されるのだ。


 全員が銅級スタートだと、ミア達のように、現時点で金級の実力はあるだろうという新米冒険者たちの不満が大きくなってしまうからな。


「あら、それじゃあ等級と冒険者ランクを貰えるというの?」


 マイヤー師匠はサムズアップをした。


「もちろん」

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