第五十九章 治子の一目惚れ
テロリスト問題が解決すると、各大臣などから、秋山総理大臣に、「各種調査は、総理大臣の第三秘書が優秀なので、お願いします。」と亮太の今までの実績から、各種調査を依頼される事が多くなってきました。
やがて、亮太と泉と、二人につけて頂いた秘書だけでは、対応が困難になってきました。
そこで亮太は、簡単な調査は、友彦に依頼しようと考えていました。
総理大臣に、その旨説明し、簡単な調査は外注する事にしました。
翌日亮太は、友彦に電話しました。
「俺だ。亮太だ。最近、探偵業の景気はどうや?」とそれとなく、調査する時間があるかどうか確認しました。
「さっぱりだ。亮太、お前、拳銃まで携帯して、景気がよさそうだな。少しは俺の探偵事務所に回してくれよ。」と亮太に期待している様子でした。
「そうか。俺も有名になり、調査依頼が、オーバーフローしている。それだったら、数件回すよ。」と調査を外注する事にしました。
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以前、京都府警捜査一課の広美から、友彦は探偵として、どうかしら?と評価がよくなかったので、最初は一件だけ外注して、その結果は悪くなかったので、その後、外注件数を増やして、様子を見ていました。
友彦も、経験を重ねて、優秀な探偵になったようで、すべての調査の精度は高かったので、簡単な調査だけではなく、少しレベルの高い調査も外注する事にしました。
ある日、亮太は、調査依頼だと、友彦を総理官邸の第三秘書室に呼び出しました。
友彦は、「いつもは、電話で簡単に説明後、書類を送ってくるのに、今回はどうしたのだ?」と疑問に感じている様子でした。
亮太は、「今回は、今までのような、小さな依頼ではなく、大掛かりな依頼だ。数人でチームを組んで調査する為に、チームの顔合わせと、依頼の説明だ。」と説明しました。
このように、亮太は、各種調査は、友彦の協力で、何とかこなしていました。
友彦も、探偵を新規採用して対応していました。
探偵の同業他社は、PRもしていないのに、なぜ探偵を新規採用して、規模が大きくなるのだ?と不思議そうでした。
思い切って、探偵事務所からでてきた友彦に、その事を確認しました。
友彦は、「以前、ここで勤務していた探偵が出世して、仕事を回してくれている。」とだけ伝えて、亮太の事には触れませんでした。
亮太は、休日が泉と合えば、亮子と親子三人で、ドライブに出かけていました。
このように、亮太は、プライベートも仕事も充実していました。
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そんなある日、治子が、「去年の夏、軽井沢に避暑に出かけたのだけれども、そこで不良に絡まれて困っていると、素敵な男性に助けられました。お互いに自己紹介して、軽井沢では、一緒に過ごしていました。軽井沢旅行から帰って、その彼の事もすっかり忘れていると、昨日、偶然、浅草で見かけたのよ。それが、やくざみたいな人と話をしていたので、怖くて、声を掛けられなかったのよ。東京で偶然会った芝居をして、家族が病気でお金に困っているなどと、金銭を要求されるのかしら?そう考えると、軽井沢で絡まれた不良も仲間で、あれは芝居だったのかしら?陽子さん、怖いから、その彼の事を調べて頂けませんか?」とその男性の事が、気になっている様子でした。
亮太は、「その男性の名前は?」と確認しました。
治子は、「軽井沢では、西井聡と名乗っていたわ。」と男性の名前を伝えて、亮太に調べてもらおうとしていました。
亮太は、「西井聡?」と以外な様子でした。
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亮太は、携帯で電話して、「陽子です。つかぬ事を聞くが、隆一から、名前は聡だと聞いた気がするが、そうか?」と確認しました。
「ええ、そうですが、何かあるのですか?」と不安そうでした。
「軽井沢で、女性を助けて、その後一緒に軽井沢旅行を楽しんだか?」と確認しました。
「そういえば、そんな事があったな。それがどうかしたのですか?」と軽井沢での事を、思い出していました。
亮太は、「また、連絡するよ。」と電話を切りました。
亮太は、「その人は、やくざではなく、軽井沢警察署捜査一課の西井刑事です。やくざみたいな人と話をしていたのは、恐らく聞き込みだろう。詳しい事は、捜査上の秘密で伝えられないが、現在、軽井沢警察署と警視庁とで合同捜査している。しかし、声を掛けなかったのは、正解だと思うよ。聞き込みしているやくざに顔を覚えられて、警察の動きを封じるために、拉致されて、人質にされていたかもしれないわね。」と問題ない程度の情報を伝えました。
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翌日、治子は原宿で、ウインドウショピングしながら歩いていると、不良学生らしい人と肩が触れました。
肩が触れたと絡まれていると、偶々近くにいた、西井刑事に助けられました。
そこへ隆一が来て、「西井刑事、親しそうに話をしていますが、お知り合いですか?」と二人の関係を確認しました。
聞き覚えのある声に、治子が振り返ると、「あら、隆一さんではないですか?二人で捜査しているのですか?合同捜査ですか?」と確認しました。
西井刑事が、「高木刑事、お知り合いですか?」と二人は知り合いのようでしたので、確認しました。
隆一は、「治子さんは、秋山総理大臣のお嬢様です。私は、治子さんの妹の陽子さんとは、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いていますので、治子さんの事もよく知っています。」と伝えました。
西井刑事は、「陽子さんのお姉さまですか。そういえば、先日陽子さんから、意味ありげな電話がありましたが、何かあるのですか?」と首をかしげていました。
治子は、「しかし、陽子さんも、捜査上の秘密だなんて言いながら、詳しい説明はできないと、合同捜査としか教えてくれなかったのよ。隆一さんと捜査しているなら、言ってくれても良いのに。」と不満そうでした。
隆一は、「普通は、軽井沢警察署の西井刑事が、東京で捜査している事事態、秘密にするべきところを、そこまで、教えてくれたのだから、陽子さんに感謝するべきじゃないですか?」と二人の間に、溝ができないように、補足説明しておきました。
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隆一から助言されても、納得できない治子は、帰宅後、夕食時、「陽子さん、西井刑事が合同捜査しているのは、隆一さんとだったの?それだったら、そうだと言ってくれれば良いのに。」と不満を亮太にぶつけました。
亮太は、「西井刑事が、東京で捜査している事を説明しただけで、誰と捜査していても関係ないだろう。不必要な情報は伝えなかっただけだ。」と説明しました。
泉が、「そうね。亮太は昔から、お喋りではなかったわよね。」と助言しました。
亮太は、「すべての情報を与えると、あとはそちらで、判断しろというような感じになり、他人任せみたいになり、嫌なんだ。」と捜査上の秘密以外にも、すべてを喋らかった理由を説明しました。
政男が、「陽子さんは、いつも他人任せにしないですよね。だから、テロリストにも対応できたのでしょうね。」と亮太の性格を考えていました。
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泉が、「しかし、先日からの話を聞いていると、西井刑事の事を、素敵な男性だとか説明していたけれども、治子さん、西井刑事に一目ぼれですか?亮太、隆一さんに頼んで、うちに西井刑事を招待すればどうですか?」と提案しました。
治子は、「やめてよ、急に、そんな事、恥ずかしいわ。」と顔を赤くして、恥ずかしそうでした。
政男が、「治子、お前もいい年なんだから、少しは考えろよ。恥ずかしがっている場合じゃないだろう。陽子さん、頼むよ。西井刑事を家に招待して頂けませんか?将来の弟に会ってみたいから。」と助言しました。
結局、治子は、幸枝など家族全員から押し切られて、西井刑事を家に招待する事を了承しました。
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早速、亮太は、治子のスケジュールを確認して、隆一に事情を説明して、スケジュール調整していました。
当日は、ホスト役として、隆一も招待していました。
当日、隆一が西井刑事より先に来ました。近くまで来た西井刑事から、隆一に着信があったので、隆一が迎えに行きました。
やがて、西井刑事が到着して、治子が家族を紹介しました。
西井刑事が、「陽子さん、電話では、何度かお話をさせて頂いた事があり、顔はテレビで、何度か拝見しましたが、直接会うのは初めてですね。西井です。」と挨拶しました。
亮太は、「陽子です。私が暗殺を阻止できたのは、各種人脈からの情報があったからです。近距離用の銃を入手しようとしている事は、銃の取引があった、熱海警察署に勤務している、隆一さんの妹からの情報です。今日から西井刑事も、私の人脈の一人になって頂けませんか?」と人脈を増やして、いろんな情報を入手しようとしていました。
隆一が、「西井刑事、陽子さんは、その情報を無駄にせずに、有効利用して、各種事件を解決しています。情報を伝えるだけの価値は充分ありますよ。その情報を悪用するような人物でない事は、私が保証します。勿論、刑事には守秘義務がありますので、上司や同僚には内緒でね。」と助言しました。
西井刑事は、「そうですか。今回、高木刑事と合同捜査をしていて、各種情報を共有しました。陽子さんと合同捜査していると考えれば、問題ないかと考えます。内緒ではなく、ちゃんと上司に報告したうえで、情報を流します。」と西井刑事の真面目な性格がうかがえました。
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泉は、「亮太、何、ニヤニヤしているのよ。」と亮太の様子がおかしい事に、気付きました。
亮太は、「泉、何も気付かないのか?なぜ隆一が、俺と情報交換する事に拘っているのか。」と隆一を見ました。
隆一は、「さすが、陽子さん、鋭いですね。そこまで見抜かれるとはね。」と亮太には適わないと感じていました。
泉は、「ちょっと、陽子!どういう事なの?」と隆一が何を考えているのかわかりませんでした。
西井刑事は、「実は、軽井沢で殺人事件があり、軽井沢警察が捜査しているが、一行に進展しない。殺害されたのは、東京の探偵でしたので、警視庁に、探偵事務所の捜索を依頼すると、探偵事務所で、週刊誌記者の死体が発見された。両者とも、鋭利な刃物で心臓を一突きされていて、傷口から、同一の凶器だと断定された。同一犯の可能性を視野に入れて、合同捜査が開始されました。この事件に、国会議員が関与している可能性が浮上してきました。テロリスト集団を壊滅に追い込んで、今や、総理大臣よりも力があると噂されている、陽子さんが動いていると聞いたので、ぜひ私達と合同捜査願えませんか?」と亮太を頼りにしている様子でした。
亮太は、「まだ、その国会議員が誰なのか、見えてこない。まだ、すべてのピースが揃ってないようだ。何か新しい情報があれば、お願いします。」と現状説明しました。
泉が、「私は第四秘書で、亮太の助手よ。そんな状態になっているのでしたら、教えてよ。私も調べるから。」と仲間外れにされたようで、不満そうでした。
亮太は、「まだ、全容が見えていない。どこで殺人犯と遭遇するかわからない。泉を危険にさらしたくなかっただけだ。」と泉を心配しての事だと説明しました。
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泉は、「殺された二人が、何を調べていたのかが、わかれば、事件の概要が見えてくるのではないでしょうか?」となぜ、その話が出てこないのか、不思議そうでした。
隆一は、「そんな事は百も承知だ。西井刑事と協力して捜査していましたが、まだ不明です。」と困っている様子でした。
亮太は、「そんなところで暗礁に乗り上げていたのか。」と笑っていました。
隆一は、「さすが陽子さん、何か掴んだようですね。」と亮太を頼りにしている様子でした。
亮太は、「まだ、何もつかんでないよ。泉、出番だ。」と泉を見ました。
泉は、「えっ!?何?急に。私は何をすればいいの?」と急に亮太に振られて、慌てていました。
亮太は、「殺されたのは、二人とも女性だ。女性が、大事なものを隠すとすれば、どこだ?二人が何を調べていたのか、何らかの証拠か写真のようなものが、どこかに隠している可能性がある。それを探して。」と女性の泉を、頼りにしている様子でした。
泉は、「女性が頼りにするのは、やはり彼氏か母親でしょうね。彼氏の家に行ったときや里帰りした時などに、本棚の本の間に、気付かれないように、写真や書類を挟むなどして、隠していないかしら。それとも、事情を説明して、預けていないかしら。」と思い付いた事を伝えました。
亮太は、「二人とも、聞いたか。その線で、証拠を探して。それと、泉、彼女たちの家に行けば、女性として、何か感じる事があるかもしれない。ただし、これは殺人犯と遭遇する可能性がある。明日俺と一緒に、殺害された、二人の女性の家に行こう。」と証拠を探そうとしていました。
次回投稿予定日は、11月11日を予定しています。




