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【ユレイシア貴族連合王国】城主(5)

「しかし……本当にここが入り口なのか?」


 渡された地図を頼りに、ハオランが村に繋がるという街道の入り口にたどり着いた。


「ここにこんな立派な街道あったか?」


 以前に通りかかった時、この場所にあったのはとても街道と呼べる代物ではなかった。

 草が好き勝手に生い茂り、踏み固められ、固くなっていた部分に辛うじて道としての面影を確認できる程度だった。


 だが、今ここにあるモノは全く違っていた。草など一本も生えておらず、それどころ見事な石畳が敷かれている。

 人や荷台の出入りも活発であり、とてもこの先にかつての廃村があるとは思えない。


(ガルグの報告に間違いがなければ、この先にあるのは千人規模の村だった筈。だがこの人と物資の出入り、とてもそんな規模で収まるものじゃない。もはや一つの経済活動すら行われていると考えるのが自然だ)


 先にある村の規模に考えを巡らせながら歩くこと数刻、街道が終わり、いよいよ村が見えてきた。


「こ、これは……」


 否、村ではなかった。

 盗賊避けと思われる巨大な堀に柵があり、一部は城壁と言っても差し支えない物に置き換わり始めていた。

 そして入り口には数名の見張りの兵士までいる。


(アスカイが村を去ったのは大体一年前だ。そうたったの一年前……だからこの村も一年目の筈。筈なんだが……)


 もはや、言い逃れできないほどに完全な都市だった。あとは城さえあれば、城下町と名乗れるだろう。


「ん……あれは?」


 入り口の奥に巨大な市場が見える。しかも、ここまでガヤが聞こえてくる程に盛況な市場であるようだ。


「んー、品物が気になるな。何を売っているんだ?名産はなんだ?」


 新しい市場を見つけると、ついつい視察したくなってしまう。商売人ハオランの性だ。


「ウチの商会で取り扱ってない物があるなら仕入れたいな。いや、逆もありだな。街道は立派だが、地理的には山奥だし、海側のものは仕入れにくい筈。クソッ、こんな市場があるならあいつも連れてくるべきだった――」


 フラフラとまるで花に引き寄せられる蝶のように、無意識に市場に向けて足を運んでしまう。


「そこの怪しやつ、止まれ!」

「うわっと!?」


 兵士たちに槍を突きつけられて、ハオランが正気に戻る。


「何だ貴様は!先程から村の中をコソコソ……いや、堂々と覗きおって!何のつもりだ!?」

「ああ、すまない。私の名前はレイ・ハオラン。商人をしている者だ」

「商人?」

「だが、今日は商人ではなく、クァンリー城城主キストラ・プラデーシュ様の使者として来た」


 そう言って、城主の印が押された立派な羊皮紙をカバンから取り出し兵士に渡す。


「村長アスカイ・サトルに会わせて欲しい」

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