【ユレイシア貴族連合王国】決起(8)
「どうやら心配はいらなかったみたいですね」
「ああ、人っ子一人いない」
「お前達、安心するのはまだ早いぞ。何処かに潜んで、様子をみている可能性もある。お前達はそのまま親父殿を守れ。俺たちは周辺を見てくる」
「うん。頼んだ、ヘイキチ」
数人の男たちを連れて、ヘイキチが村の周辺を見回りにいった。
(しかし……廃村とは言え、想像以上に荒れているな)
サトルが村内を見渡してため息をついた。
「確かにこれでは野盗も住み着かないな」
かつては通りだったと思われる場所も、そこかしこに雑草が生えていた。水路は枯れ果て、畑も森と同化してしまっている。
崩れている家も多く、辛うじて形が残っている家もツタが巻き付き、押し潰されかけている。そのまま使えそうな家は、数件しか残っていない。
もはや廃村と言うのもおこがましい。辛うじてかつて人がいた気配を感じるだけの、自然に帰化してしまった遺跡同然だった。
(さて、どこから手を付けるべきかな。とりあえず、今日は寝床の確保を最優先。その次は――)
「――親父殿!」
サトルが考えを巡らしている内にヘイキチが戻ってきた。
「どうやら、ここには本当に誰もいないみたいだ。獣以外に新しい足跡はなかった。あと向こうの方に川があったよ。ちょっと遠いが、とりあえず水源については問題ない」
「そうか、ありがとう。助かるよ、水さえあれば、後はなんとでもなる」
「で、親父殿。まずはどうする?見たところ、再利用できそうなものは殆どなさそうだが」
「うん。まぁ今日はとりあえず村内の掃除と、寝床の確保かな。雑草を綺麗にするだけでもだいぶ変わる筈だ。ヘイキチ達は通りの雑草刈りを、僕達は使えそうな家を見繕って掃除するよ」
「おう、わかった」
サトルとヘイキチはそれぞれ分担して作業を始めた。
「――しかし、廃村とは本当に名ばかりですね。もう村と言って良いのかすらわからないです」
男の一人が崩れた家を見ながら呟く。
「まぁ、話の通りなら、この村に人がいたのは十数年は前のことだからね。人の手が入っていないなら、これぐらいにはなるだろうね。お、でも、この家は良さそうじゃないか」
話しながらサトルが一軒の家を指差す。
「結構大きい家ですね」
比較的位の高い人間が住んでいたのだろうか。明らかに他の家とは違う雰囲気をしていた。
荒れ放題とはいえ、立派な門と広い庭、大きな池がある、屋敷と言って差し支えのない家だ。
廃村ギリギリまで人が住んでいたのだろうか、他の家と比べても痛みが少なく、比較的状態も良い。
「よし、ちょっとお邪魔しよう」
サトル達が門をくぐってその屋敷に入っていった。
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