05 再会と情報収集
「あら、まだいたのね。」
初めに話しかけてきたあの人がいた。
「そこらを歩いていたんですよ。迷子になって戻ってきました。」
「迷子にしては、帰ってくるのが早かったわね。」
「交番で地図をもらってきたんです。」
女性は目を大きく見開いて、
「珍しいわよ、それ。」
「早く厄介払いがしたかったから渡されたんだと思います。」
「よっぽどSIZがひくいのかしら?」
「そうです、0なんですよ」
「あら、VITが0なら、初期好感度-80になるわね。ちなみにVIT5で好感度0よ。」
「そんなに低いんですか!」
「大丈夫、5時間ぐらい話し掛け続けたらプラスになるわよ。」
最初と同じように女性はいたずらをした子供のように微笑んだ。
「ありがとうございました。」
「あと、フレンド申請しておいたからいつでも呼んでくださいね。」
右上の端に見えるウィンドウに、
〔ユミナル・サラナ NPCからフレンド申請が届きました。〕
不思議と違和感無く出てきた。
「ユミナルさん、NPCだったんですね。」
一回NPC説も考えていたけどSIZの効果がなかった時に、その線は捨てていた。
「まあね。それと、この世界の人には、下の名前で呼んだ方が良いわよ。それじゃあ、良い旅を!」
サラナさんが大きく手を振って見送ってくれた。
さあ、今度は人の流れにのって迷わないように行こうか。