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ここから読んで良し

さて、突然だが私はこの春、高等部に進学する。

え?中等部の話?特に何も断じて何もなかったから、話す事なんてないよ?

そう、ダンジョンは更地にしなかったし、カイルとの仲も進展していないし、エリザベートも留年しなかったし、私がテストで一位を取ることもなかったのだ。

だから、断腸の思いで中等部の話は割愛させて頂こう。

何ならここから本編が始まる感じだから、今までの話も読む必要なんてないのだ。


とにかく、私はやっと乙女ゲーム『Encounter of fate』の舞台にたどり着いた。

不運にも転生してしまった私の目標は『Encounter of fate』におけるフェリシア・カレトヴァーのように、通称メンヘラ・ナイフ令嬢のようにならないこと。そして何より卒業後まで生き延び、貴族としてじゃなく冒険者として楽しいスローライフ(?)を送ること。

クール系攻略者にして、フェリシアの処刑の象徴であるカイルと婚約だなんてもっての他だ。

いくら、不本意でカイルの攻略に既に成功していようとも、だ。


「ようやく、始まりますわね!『Encounter of fate』のストーリーが!」

「そうですね。それより、エリザベートは留年しなくて良かったですね」

「貴女のおかげで、何とか初等部と中等部を卒業できましたわ!」


私の友人であり、とあるルートにおいてライバルキャラとして出てくるエリザベートは本当にギリギリ卒業と進学が出来た。

エリザベートの母親でもある王妃様は彼女の頭じゃ、進学しないほうが良いって言っていたけど、彼女の兄であり、キラキラ王子様系攻略者でもあるエドワードが助力したから、さぁ大変。

私のまともな学院生活は保障されなくなった。

ゲームでは、優秀な王女として描かれていたエリザベートだったが、今の中身はゲームとは違い、かなり残念でお馬鹿な少女となってしまっていた。

なのに、エリザベートには処刑エンドがない。

理不尽だ。神様が目の前にいたら殴る。


(うむ!それでは、殴りに行くとするか!)


私の冗談を真に受け、エアボクシングを始めたのは私と契約関係にある大精霊ナツメ。

大精霊なんて聞こえは良いけど、彼女に限ると話は変わってくる。

まるで子供のような思考回路をしているのにも関わらず、滅茶苦茶な事を実行できるだけの力を持っているから質が悪い。

悪い精霊って訳じゃなく、何となく見限れないから余計に。


はぁ、何で私の周りには録な奴がいないのだろうか。

カイルやエリザベート、ナツメ以外だけじゃなくて、両親も相変わらず人目も憚らずイチャイチャするし、私への愛が重い。

ここまでくると、本当に鬱陶しい。

あと、暗黒騎士と呼ばれる攻略対象者で転生者でもあるノワールと、聖騎士と呼ばれるライバルキャラのステラはすぐ喧嘩する。

まぁ、すぐ終わる喧嘩(?)なので前者に比べたら問題ないのだけれど。

そして、それで済まされないのがエリザベートの専属メイドであるリゼとリズだ。

二人は便利道具という名前の兵器を開発しまくっているのだ。

特に爆弾などに力を入れていた。

魔王退治には役に立つだろうけど、怖いからやめて頂きたい。


しかし、そんな私にも癒しが存在する。

義弟であり、攻略対象者であるアンリ、そのアンリの専属執事であり、攻略対象者でもあるシリル、ゲームでは出てこない妹・クロエ、面倒だけど基本的に私大好きな専属メイド・サラとソフィ。

この皆がいるから、私は何とか平穏を保っていられるのだ。

ただ、アンリとシリルは最近ゲームそっくりの行動をするのでちょっと怖い。

例えば、アンリは黒猫に前を横切りまくられたり、突然自前の鏡が割れたり、頭の上でカラスが鳴いたり。

不運なキャラクターとして描かれていたアンリは不運な目にあいまくっている。

また、ドジっ子執事として描かれているシリルはここ最近になって私の前で転びまくるようになった。

その度に涙目になるので、私の良心は痛んでいた。

私がそうならないように動いたはずなのに、突然二人はゲームに出てくるキャラみたいになった。何で?


でも、やれる事は多分全部やったから、何とかなる気がする。

いざとなったら、お互い利益目的で友達になったエドワードもいるしね。

そんな楽観的な気持ちで私は新しい教室に足を踏み入れた。

そこには、『Encounter of fate』をやっていて、尚且つ少し考えたら辿り着ける姿になったヒロインがいた。

ピンクの髪も華奢な体型もあくまでゲームで見た通りだ。

でも、何で君は厚底眼鏡をかけたおさげ少女になっているんだい?

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