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その後

その後、ミレーヌぱいせんはエドワードが手配した近衛兵達に取り押さえられ、連れていかれた。

その間、ミレーヌぱいせんは最後の抵抗と言わんばかりに暴れまくっていた。

私の罪を訴えながら、父親を信じながら。

正直、ここまで大事にしてしまった私はちょっと罪悪感が沸いた。

私なら、事を最小限に済ます事もやろうと思えば出来たはずだから。


また一番強く洗脳を浮けていたカイルだが、大丈夫だそうだ。

今は念のため別室で休息を取っているが、時期に目を覚ますだろう。

良かった良かった。


「エドワード様、ミレーヌ様の罰は私が決めてもよろしいでしょうか?」

「勿論、と言いたい所だけど君の罰は甘そうだだからな」


エドワードの言う通り、私はミレーヌぱいせんの減刑を求めていた。

彼女はまだ子供で私は大人だ。(そうだよね?)

とてもじゃないけど、彼女に対して厳罰を求める事は出来なかった。

勿論、結果的に一番の被害者となったカイルが厳罰を求めるなら、話は別だけど。


「私が彼女に求める処分は半年間の領地謹慎。以上です」

「それだけかい?生涯幽閉ならまだ分かるけど、それじゃあ他の貴族に示しがつかない」

「彼女はあくまでクーラン侯爵に利用されたに過ぎません。更正の余地はあるかと」

「僕はないと思うよ。ほら、二度ある事は三度あるって言うし」

「仏の顔も三度まで、という言葉もあります。つまり、次はありません。それなら、良いでしょう?」


正論を並べてくるエドワードに私は屁理屈で返す。

どちらかが折れないとこの話は平行線のまま、ずっと終わらないだろう。

でも、私から折れる気はまったくない。

そんな確固たる意思を持って、私はエドワードの目を見据える。


「……参ったな。」


私の意思が伝わったのか、先に折れたのはエドワードだった。

長いため息をついた末、降参の意を示すため両手を上げた。

ごめん。でも、ありがとう。


「他の貴族はどうやって黙らせるんだい?」

「クーラン侯爵家の爵位降格、一部の領地没収でどうでしょうか?」

「それに加え、一部の財産凍結で何とか及第点って所だね。でも、これだけじゃ、カイルを始めとするフォレスター公爵家は黙っていないだろう」

「それなら、そこまでです」


やはり、一番の被害者はカイルだ。

最終的な判断は彼に任せるが、それとこれは別の話だ。


「君はまさに聖人だね」

「違います」

「じゃあ、年上としての責任感のようなものなのかな?でも、それを君が感じる必要はないはずだよ」

「……え?ちょっと、待って下さい。」


確かに精神年齢としては私の方が上だ。

だから、エドワードの言ってる事は全てあっている。

でも、それは転生者としての知識があって初めて辿り着く答えなのだ。

もしかして今になって私やエリザベート、ノワールのように前世の記憶が……?


「あぁ、僕には前世の記憶とやらはないよ?でも、エリィがよく話してくれたからね」

「え、あの話を信じているのですか?」


本当の話ではあるが、私がエドワードの立場だったら絶対に信じない。

だって、眉唾物のような話だ。


「うーん、信じざるを得ないって感じかな?だって、優秀だった妹が突然馬鹿になったり、我が儘放題だった従兄弟が突然大人びたりしたら、ね?」

「なるほど。妹さんの件については御愁傷様です」

「あはは。僕は今の妹も好きだよ」

「知ってます」


私は周りの印象を変えようとして、急ぎすぎたらしい。

前世を思い出した時点では私に甘い人達しかいなかったから、誤魔化しきれると思っていたけど、思わぬ伏兵がいたとは。

そういえば、記憶が戻る前に数回会った事があるんだよね。

そりゃ、前世の記憶なしなのにやけに聡明なエドワードが気づかないはずないよ。


「その反応、やはり君もそうだったんだね」

「はい、してやられました」

「ふふふ」


楽しそうで何よりだ。

悔しげな顔をする私を見て、エドワードは実に楽しげな顔をした。

やっぱり、こいつの事は嫌いだ。


「話を戻そうか。それで、君の意思は変わらないのかい?」

「はい、変わりません。ただ、先程も言った通り、決定権はあくまでカイルのものですし、次は容赦しません」

「分かったよ。カイルはきっと君の決定に従うだろうから、問題ないね。他の貴族達は僕が何とかしよう」

「ありがとうございます」

「良いよ。だって僕たち友達だろう?」

「……え?ともだち、なんですか?」


エドワードのまさかな発言に私は耳を疑った。

え、友達?仲の良い知り合いって意味のあの友達?私とエドワードが?え?


「あー、やっぱりか。何か変だと思ったんだよね。さっきも友人の君を庇う台詞を言ったつもりだったのに、カイルを引き合いに出してくるし」

「私とエドワード様が友達?え?」

「……まぁ、いいや。友達じゃなかったなら、僕と友達になってくれないかい?」


そう言ってエドワードは私に手を差し出した。

よく分からない状況だけど、面倒くさそうな事は分かる。

だから私は話をそらして、有耶無耶にしてしまおうと考えた。我ながら最低である。

でも、面倒くさいものは面倒くさいし、嫌なものは嫌なのだ。


「何故、私なんですか?」

「僕が王になった時、君みたいな貴族らしくない者こそがこれから必要になってくると思うんだ。民がいるから国が、領地が継続できていると言うのに、基本的に貴族は民に重きをおかない。その結果、滅びが始まる事は歴史が証明しているにも関わらず、だ。でも、そんな思想を普通の人間が持っていても、正直意味はない。特別な力の持ち主が持ってこそ、意味を持つ。」

「だから、私なのですか」


エドワードは微笑みながら、私の言葉に頷く。

前言撤回、そういう利益がらみの関係なら大歓迎だ。

いつか、私が本当の意味で『Encounter of fate』のフェリシアになってしまった時の保険として、その関係は大いに利用できる。


「ねぇ、僕の友達として、いつか王となる僕を支えてくれないかい?」

「そういう事なら、いいですよ」


『Encounter of fate』におけるエドワードルートのバッドエンド①、所謂友情エンドを向かえると聞ける台詞を言ったエドワードの手を私は握り返した。

ふぅ、これでひとまずは安心かな?

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