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癒し

あまりにもしつこいエリザベートに私は最終手段を使う事にした。

そう、リズとリゼである。

不思議な事にエリザベートの側で名前を呼ぶといつどんな時でも返事を返してくれる彼女らである。

そんな経験則から、今回もいるんだろうなという予想を立てた私は早速声をかける事にした。


「リズ!リゼ!先程の件を王妃様に!」

「え」

「はいはーい!」

「……お任せを」

「え……え!?それだけは止めて欲しいのですわ!この通りですから!」


その瞬間、エリザベートは慌てて華麗なスライディング土下座を決めた。

仮にも王女ともあろう御方が一介のメイドに土下座をするなんて。

王妃様が見たら般若顔になりそうな行為だが、メイド二人が動じない様子を見ると、三人のヒエラルキーが伺える。

まぁ、薄々予想はついていたけどね。


「というか、何で私よりフェリシアのお願いを聞くんですの!?」

「日頃の行いですよ!」

「……そもそも姫様のお願いは支離滅裂なので」

「ぐぬぬっ!」


地面に這いつくばったままのエリザベートは心当たりがあるのか、それきり黙ってしまった。

そして、それを見たノワールは驚いたのかぎょっとした顔をしているので、私は流石に助け船を出して上げる事にした。

まぁ、そもそも私が二人を呼んだ事が原因なんだけどね。


「次はないからね?分かった?」

「フェ、フェリシア!」


ついでに手を差し出して立ち上がらせると、エリザベートはキラキラした目で私を見てくる。

その後ろでは、不満げなリゼとリズがブーブー言っていた。

二人とも、仕えている主には本当に容赦ないな。

この前も蚊が止まっているから、と手で顔を叩いたり、虫除けスプレーぶっかけたりしてたし。


「ちょっと待て!一応確認だが、彼女らも転生者なのか!?」


あっ、そういえば言ってなかったな。

私に凄い顔で詰め寄って、慌てて後退るノワールの様子を見て、私はその事を思い出した。


「エリザベートは転生者、そのメイドのリゼとリズは転生者ではないけど理解者って所かな」

「えぇ!その通りですわ!」


何を思ったのか、すっかり立ち直ったエリザベートは今度はキラキラした目をノワールに近づけた。

肝心の本人は萎縮した顔で離れて行ったけど。

今度は何をやらかすつもりだ?


「ところで、ノワール様とステラ様の馴れ初めなんかを伺いたいのですが!よろしいでしょうか!?」

「ステラ、の……?」


あー、ターゲットが私からノワールに移ったか。

どうします?密告します?という表情を隠す事もなくリゼは私にそっと近づき、リズに至ってはクラウチングスタートで私の指示を待っている。

さらに、ノワールまで私に助けを求める目を向けてきた。

何だ、この混沌は。


よし、帰るか。

その勢いで本当に帰った私は、カレトヴァー邸の温室で癒しを求める事にした。

そう、アンリとクロエとのお茶会である。

余計な心労を増やすとして両親参加禁止のね。


「それで、今日は学院で何があったんですか?お姉様!お兄様!」


クロエは天使のような、いや天使のごとき笑顔を浮かべ、私達に早速質問を投げ掛けてくる。

ここ一ヶ月で、クロエは淑女教育を受けているためか大分言葉遣いが大人っぽくなった。

何でも、お姉様である私のような淑女になりたいからたくさん勉強しているらしい。

ぐへへ。

幼い感じが抜けないクロエも可愛かったが、こちらのクロエも大変可愛らしい。


「今日は学院内を回ったんだ。だよね、姉さん」

「はい。中々楽しかったかと」

「さ、さすがですね。僕、エドワード王子と一緒だったんですけど、疲れちゃいましたよ」


へー、ダンジョンに落とされた時、アンリはエドワードと一緒だったんだ。

いいなぁ、私もそこに交ざりたかったなぁ。


「姉さんはカイルとエリザベート王女と一緒って聞きましたよ」


私もアンリと一緒にいたかったなぁ。

おっと、いけない。

私とカイルのエピソードが大好きなクロエが目を輝かせている。

そのため、私はさりげなく話を反らす事にした。

ごめんよ、クロエ。

君の願いはなるべく叶えてあげたいけど、カイルは少なくともエンディング迎える時期まで無理。


「そういえば、サラとソフィーとシリルはどうだったのかしら?」

「えっと、確か三人一緒でしたよ。シリルは出口から出てきた時、涙目でした」


なるほど。

そこはいつも通りだな。

強気なサラとソフィーと弱気なシリル。

姉御肌の一面も持ち合わせる彼女達はよく弟分のシリルに叱咤している姿を見かける。

まぁ、シリルがしっかりするに越した事はないから、今後も頑張って欲しい。


というか、アンリがいつの間にかカイルとシリルと仲良くなってた。

今、さらっと二人の事を呼び捨てにしたよね?

この世界の貴族社会には、呼び捨てに出来るのは本当に親しい間柄の者だけという暗黙のルールがあるのだ。

ゲームにもフェリシア被害者の会というコンビを結成してたくらいだから、接点はあるのは分かるけど。

まさかそれを抜きにしてもこんな仲良くなっていたなんて。


もし、私が処刑される事になったとしてもシリルの場合は雇用者の立場を、アンリの場合は家族の立場を使えばワンチャン何とかなるような気がするから、この二人が仲良くなるのは別に構わない。

が、カイルの場合は対等な立場という事もあって逃げ切れなさそうだし、一風変わった求愛(?)もしてくるから、出来る事ならそんなに仲良くなって欲しくないというのが本音だ。

でも、私の勝手な都合でアンリの交友関係を狭めたくない。


さて、どうしたものか。

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