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とりあえず
「エルフだろうと、人は人だしな?とりあえず集落があるって事だよな」
物色を終えたユキミは、男が背負っていた鞄をもらい受け、人が居そうな方角に当たりを付け向かうことにした。
辺りはすっかり夜になった。
しかし、強力な月明かりのお陰でまるで昼間と変わらない様な明るさを保っていた。
「居なきゃ居ないで別にいっか」
ユキミは先程の犠牲者が所持していた小刀を携えている。
「疲れたらこれで、適当に首でも搔っ切れば死ぬだろ」
濁った瞳で静かに呟くユキミ。
果たして、彼は死なずに済みそうだ。
「明かりだな」
人工の明かりが見える。
「あ~人が居そうだな~」
しかし、ユキミは一つ疑問が生じた。
「言葉、通じんのか?」
彼の服装は、先程死者から剥いだ物を身に付けているので、あの死者が目の前の村の住人だった場合それ所ではないのだが、彼は一切問題視していなかった。