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最強の男 ムーンブレイカー  作者: カミオカンデ
ブレイカー協会編
8/18

8

ルーナ 南西部 レルド山脈 付近の村 レルド村 


レルド山脈、数々の山がひしめき、見るものを圧倒する自然美があった。レルド山脈を縫うように森が点在しており山以外は森、と言った場所であった。その山脈を越えると西の大帝国と言われるルナ帝国がある。


今回、その森の中で月魔達が目撃され、ヒュウガ達はレルド村で準備を整える為、宿屋の食堂で食事をしていた、着いた時には夕方になっていた為、今日は休んで、明日の朝一番で調査に向かう事になった。


「ねえ、あなた、エリィ様に会った事はあるの?」


マイは食事を終えて、一段落している雰囲気の中、ヒュウガに向かって聞いた。


「エリィって、どのエリィですか?」


ヒュウガは確認の為、聞き直した。

もちろん、そう言われてすぐ思い付いたのはブレイカー協会の第三位部隊の隊長をしているエリィ アラガネだ。だがヒュウガは今は一、審査官という立場の為、下手な事をいいまいと慎重になっていた。


「あんた、バカね!、エリィ様って言ったら第三位部隊の隊長のエリィ様の事に決まってるでしょう!」


「ちょっと、マイ、バカとは、失礼でしょう」


マドカはマイの発言をたしなめた。


「なによ!、マドカだって気になるでしょう、少しでも私達はエリィ様の事知りたいんだから」


ヒュウガはこの二人なら問題ないと判断しエリィの事を少しだけ話す事にした。


「ああ、第三位のエリィですか、昔、一緒に任務をこなした事がありましたね、まあその時はまだエリィは一部隊員でしたが」


「ちょっと、私達の憧れの人を呼び捨てにしないでよ!」


「まあまあ、マイ、少し落ち着いて、で、ヒュウガさんとエリィ様はどういう関係何ですか?」


マドカはマイを落ち着かせると、自身も興味津々な態度でヒュウガを見つめた。


そこから先の女子二人の勢いはすごかった。

ヒュウガに対して、エリィに付いて知っている事を根掘り葉掘り聞かれて、気がつけば深夜になっていた。


「二人共、これ以上は明日に差し支えるので終わりにしましょう!」


「えー、まだ全然足りないわ!、私達の体力をなめないで欲しいわね!、寝なくたって平気よ!、だからまだ知っている事を言いなさい」


「マイ、さすがにこれ以上はヒュウガさんに迷惑でしょう!、明日以降も、まだ時間があるんだから今日はもういいでしょう」


ヒュウガは二人の関係性はマイが暴走するのをマドカが止める、いい関係性だなと、ぼんやりと眺めていた。


「しょうがないわね!、でもまた聞かせなさいよね!、マドカ、部屋に戻りましょう」


そう言うとマイは自分の部屋に向かって歩いて行った。


「ヒュウガさん、なんか、すいません、私達、いつか本部のエリィ様の部隊で活躍するのが夢なんです!、だからエリィ様の事となるとマイも私も興奮しちゃって、でも色々と聞けて嬉しかったです、では、お休みなさい」


ヒュウガは誰もいなくなった食堂でタバコに火を付けた、煙を吐き出すと、やっと二人から解放された安堵の表情を浮かべた。


しかし、驚いたな!、エリィをあんなにも尊敬しているなんて、確かにエリィはブレイカー協会を問わず、どこえ行っても人気だし、人望もある、それにまして実力もある、人気が出ない訳ないだろうな!。


まあ、今回の任務、どうもやな予感がする、無事に終えられればいいが、あんまり私も本気を出したくないですからね。


「私もそろそろ、寝ますか」


ヒュウガはそう言うと自分の部屋に戻って行った。



ルーナ支部 支部長室


ノムは片手程の物を耳に当てながら誰かと話していた。


この世界において通信手段と言えば、ポータルと呼ばれた片手サイズの通信機だ。


数々の魔力式が組み込まれ、一人一人に対応している優れものだ。


魔力が発展したと同時に様々な物が魔力式と呼ばれた設計図を元にする事で魔力を糧として発動出来るようになった。


そしてポータルと呼ばれたこの魔導端末は爆発的に世に普及し、今や持っていない人がいないくらい浸透していた。


「で、段取りはできたのか?、そちらの準備次第で、こちらも命令をするんだ、わかっているだろう、、、


うん、そうか、準備できたか!、わかった、では、こちらのタイミングでまた連絡をする」


話しを終えたノムは今の所、すべてこちらの予想通りに事が運んでいる事に笑みをこぼした。


今、ヒュウガ達が向かっている場所はノム達が秘密裏に確保した月魔達を捕らえている場所だった。


ノムやウトク達は長年の研究により月魔達がある特殊な餌を与えると従順になり、こちらの意のままに扱えると気付いた。


だがそれは偶然の産物だった、月魔達は基本的には強力な攻撃をしてくるがほとんど物理攻撃のみだ、だから人間達は魔力をまとった攻撃をすればほとんどの月魔達は処理出来るのだ、まあ、中には特別強い個体も存在したが、それも強大な魔力をまとった攻撃をすれば処理が出来た。


だから、月魔達を捕らえる事はさほど難しくなかった、基本、物理攻撃しか出来ない奴らは、魔力で作り上げた牢屋に入れておけば手も足も出せない。


そこからウトクの研究が始まった、まず牢屋に閉じ込めた状態で何日間、生きられるか?、だが月魔達はどれだけ時が経っても死ぬ事はなかった、そこで今度はノムの支配下にあるブレイカー員と戦わせた、そしてウトクは月魔達がいつまで経っても衰えない動きに体力も無限にあるのではないか?、と様々な研究心を駆り立てられたウトクは常軌を逸した行動を取った。


「ノムよ、人間の死体を用意出来るか?、月魔の実験に使いたい」


「ウトク、正気か?、月魔達の実験に何故、人間の死体がいるんだ」


ウトクは当然だと言わんばかりに言った。


「月魔達に食べさせる為だ!」


ノムはウトクの言葉に背筋が凍る思いになった、そんな事、出来る訳がない、ノムも死者に対する礼儀は尽くしてきたつもりだ、そう言う思いからウトクの発言に身震いがした。


「だが、それは死者を冒涜してる行為だぞ!、そんな事は容認できんぞ」


「何を今更、もう私もお前も後戻りは出来ない、ならば私の研究に協力した方が身の為だぞ」


確かにウトクの言う通りだった、ノムはブレイカー協会の支部長にまで上り詰めたが身の丈に合わない収入に納得出来ず、様々な裏仕事に手を染めていた。


「そうだな、今更だな、わかった、大勢は無理だが定期的に用意しよう」


そんなやり取りもありノムは成果の出ないブレイカー員を闇灰に依頼して殺し、その死体をウトクの研究に差し出していた。


何故、ウトクが餌に注目したのかというと、ある時、月魔を閉じ込めていた牢屋にネズミが侵入した、そして月魔はそのネズミを食べてしまったのだ、その数時間後、変化が起こった。


ネズミを食べた月魔はなんとネズミの外見に変化したのだ、これを聞いたウトクは月魔に様々な動物や魔物を月魔に食べさせた、その結果、月魔達は生ある者を食べるとそれに変化するという生態を発見したのだ、変化した月魔達はすべて従順になりおとなしくなった。


そしてウトクは人間を食べたらどうなるのか?、その好奇心を抑えられなくなっていった。


そして月魔の細胞を人間に取り込む事よりも、月魔達に人間を食べさせた方がよりいい結果になるのではないかと?、独断専行の考えがウトクを支配していった。

 

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