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創世記?

 

わたしはひとりで孤独だった。

さみしかったのだ。自分とは別の存在と触れあいたかった。


最初にわたしはうちゅうをつくった。そこにはなにもなかった。

延々の暗闇。

「こんなんでは気が滅入る。少し明るくしよう」


 そう考えたわたしは明るく大きなたいようをつくった。しかし、これは派手すぎた。しかも、暑い、暑すぎる。わたしは暑がりなのだ。

 はじめてつくるのものだから、どうにも勝手がわからない。

 ならば、暗闇とたいようを交互に動かせばよい。これは妙案だった。そうすればちょうどよくなる。


 最初は変化が楽しかった。暑くなったと思ったら、暗くなり涼しくなる。今までなかった変化をみることができてとてもうれしかった。

 でも、暗闇が暗すぎるのである。こんな状況ではなにもできない。

 明るすぎない光が欲しかった。


 私は思い付きで小さな星というものをつくった。数が多いので、形や大きさはまちまち。そろえるのは難しかった。というより面倒くさかった。

 ひまつぶしにその優しい光を見たり、はじいて遊んだ。


 そんなふうに遊んでいたら、事故が起きた。星と星とがぶつかってしまったのだ。

「あーあ壊しちゃった」

 しかし、それは間違いだった。ぶつかった星と星が合体して大きくなったのだ。これはおもしろい。


 ぶつければぶつけるほど大きくなる。いくつかの大きな星ができあがった。

 その遊びにも飽きてくるとくると、不思議なことがおきた。


 星の中に空気と水ができたのだ。どうしてこうなるかはよくわからない。でも、おもしろかった。ためしに生き物をつくって星に入れてみた。

 生き物なんて自分しか知らないので、適当にブヨブヨしたやつをつくった。ほとんどの星ではすぐに死んでしまった。

 どうも空気のバランスなどが大事らしい。


 失敗した星がある一方で、いくつかの星では成功した。無事に水の中でブヨブヨしている。みていて癒される光景だ。

 こうなると俄然、やるきがでてきた。かっこいい生き物、かわいい生き物、変な生き物いっぱいつくった。がんばればがんばるほどおもしろい生き物ができてくる。達成感がわたしを動かした。


 しかし、問題も生じた。つくった生き物がだれも話し相手になってくれないのだ。あいかわらず、わたしはひとりぼっち。

 そもそも、自分とは丸っきり違う形の生き物だ。近づいたら食べられる危険性すらある。


 自分とおなじものをつくらないといけない。そう感じたわたしは何度も試行錯誤を重ねた。

 しかし、なかなかうまくはいかなかった。自分と似せようとすると、調整がむずかしい。大きくなってしまったり、小さくなってしまったり。頭が悪くなってしまったり、狂暴だったり。そのうちどんどんめんどくさくなってきた。もうやけだ。

 いままで作った失敗作をある星にいれてみることにした。どうなってもおもしろくなるだろう。


 それから少し時間が経った。

 今ではそれを後悔している。

 これはフィクションです。けっしてハードなSFなどではありません。どうして世界がこうも不完全なのかということを考えて書きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 神様の憂鬱ですね。 怠慢が多いので作られた者たちは好き勝手にボロボロにしていきます。
[良い点] 昼と夜と星の成り立ちが上手く説明できているところ。 [一言] ファンタジーと理屈の楽しさ
[良い点] Dさん 最近の三編を読ませていただきました。 創世記ですが、むかしSim Earthをやっていたころを思い出しました。 あと、日本書紀とか古事記を読むのですが、その創世記がこんな感じ…
2017/09/18 19:32 退会済み
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