俺、予定の無い休日だったけど心暖まる休日になった
今日は休日だ。
孤児院に行く予定も他に予定がある訳でもないので今日は家の掃除、ご飯の買い出し、新しい魔法の研究をしようと思う。
基本的に毎日軽くではあるが掃除はしている。
ご飯の買い出しはギルドで貰える物もあるので、実際にはご飯と言うより飲み物だ。ジュースを買う訳では無く、とても美味しいジュースを作れる果実を育ててる人の所へ買いに行くのだ。
恥ずかしい話、紅茶とかでもいいのだが苦いのは苦手なのだ。蜂蜜や砂糖は値段が高い。お金はあるが、日本で安く買っていたせいか、高いと手が出せない。その点果物は安定の安さだからちょうどいいのだ。
自分へのご褒美に甘い物づくしのメニューを作り昼にする。
幸せを感じていると玄関から音が聞こえた。
どうやらお客様らしい。
ドアを開けてビックリした。
「ミリーちゃん久しぶり、遊びに来ちゃった」
「お母様!」
「あらあら、今は平民なんでしょ、お母さんとかママでいいのよ」
「どうしてこちらに?」
「言ったでしょ、遊びに来ちゃった、入っていい?」
「はい!あっそうだ、良かったら私が焼いたパイがあります!一緒に食べましょ!」
「いいわね!ちょうど甘い物が食べたかったの!ここまでいい匂いがくるわ、母として娘が成長してるのを見て嬉しいわ」
お母さんと食事はとても楽しかった。
料理を褒めてくれたのもうれしかったし。
僕の出会った人たちの話をしたりこの町がどれだけ好きかも話した。
お母さんとの会話は心があたたまり、心地いい時間だった。
「あら、もうこんな時間ね、ごめんね私はそろそろ行くわ」
「うん!今日は来てくれてありがとう!とってもいい休日になったわ」
「ふふ、ほんとにいい子に育ってくれたわね」
別に家族のあたたかさを忘れていたわけでは無いが、こんなにも心が安らぐのだな、と再確認する様に手を胸の前に持ってくる。
あたたかい、街の人とはまた別のあたたかさだ。
王子を除いて自分の周りにはこんなにも暖かい人達がいる幸せに感謝して、これからも頑張ろうと自分に活をいれる。
「あっ、そう言えば魔法の研究やってない」
まだ休日は終わってない。
せめて、今作っている光学迷彩を利用した透明化魔法を完成させないと。問題はテレパシーで相手とコンタクトが取れる魔法なんだよね、これに関しては転移魔法と一緒で理論がいまいち分からないから難しいんだよな。
ー そのころ街では ー
「殿下、そろそろ諦めましょうよ」
「うるさい、それにしてもおかしいな」
「どうしたんですか?」
「ここは俺が将来トップに立つ国の首都だよな」
「はい、可哀想なことに」
「なんか言ったか?」
「いえ、なにも」
「まぁいい、問題は俺の国のはずなのに美女が少ないという事だ」
「そりゃ殿下に見つかり愛を受けるのが恐怖で出歩きませんもんね」
「ん?今なんか言ったか?」
「いえ、なにも」
「お前は、その喋っているのかいないのかよく分からんやつを直した方がいいぞ、正直に言って気味が悪い」
「は! 以後気をつけます!」
「さて、次はどこを探しに行くかな」