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プロローグ

「あれは現実だったのか?」と問われると、途端に自信がなくなる。どう考えてもあり得ない…。とは言い切ることができないが、本当に自分に起こった出来事としては不可思議だ。

「夢を見ていたのではないか?」と問われると、絶対にそれは違う。確かに彼女の声を僕は覚えている。今でもハッキリ思い出して、脳内で正確に再生できる。あの優しい声。

どこか輪郭のぼやけたようなあの時間。肌を撫でる風はぬるくて、手を切ると痛いあの草が風にそよいでいた音は鮮明に思い出せる。こうやって鮮明に思い出せるのに、すぐ側にあるような気がするのに、もうあの場所にもあの時にも戻ることはできないんだ。彼女に会うこともきっともうないんだ。『きっと』なんて断定的でない言葉を使うのは、『絶対』もう二度と会えないということを認めたくないからだ。『きっと』なんてぼやけた言葉で濁しておけば、何かの拍子にまたあの時間に戻れるかもしれない。あの時間を過ごしたこと自体が不思議なことだから、もう一度、彼女に会えることなんて大した奇跡でも偶然でもない気がしてくる。彼女はあんなこと言ったけど。「もう会えない、逢えないね。」なんて言ったけど。僕はそうは思わない。また会おう。夢の中でもかまわないから。

この話は、米津玄師さんの「乾涸びたバスひとつ」という曲をモチーフにしています。

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