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海の見える街  作者: 日次立樹
3/5

あの島もいつか

海岸沿いの堤防に座って、絵を描いていた。夏休みの宿題だ。四つ切りの画用紙に、茶色と青と白を塗りたくる。ぽたり、洗筆桶から垂れた水滴がじわじわとコンクリートに染みを作った。

砂浜と海、空と雲。緩くカーブを描く水平線。レモン型の黒い影がひとつ、ふたつ、みっつ。あの島は海岸線からどれくらい離れているのだろう。


何もない島だ。岩ばかりの、ごつごつとした。足元に転がった石を一つ、太陽にかざしてみると、きらきらと無数の光の粒が輝いていた。

振りかぶって、投げる。2,3度岩にぶつかってから、水柱を立てて海中に沈んだ。


波打ち際の岩は波に磨かれてつるつるになっている。足を滑らせないように手をついて傾斜を下りた。平たく丸い石をいくつかポケットに詰めて上る。

ヒュン。パシャ、パシャ、ポチャン。

わたしの手を離れた石は綺麗な弧を作り、海面で魚のように跳ねる。

ヒュン。パシャ、パシャ、パシャ、ポチャン。

ヒュン。パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、ポチャン。

パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。


空っぽになったポケット。

パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。

銀の魚が水面で跳ねる。偉そうに胸を張って、恐れるものなどないかのように高く跳ね上がる。とび。1、2、3、…15はいるだろうか。

群れはあっという間に通り過ぎていった。


パレットについていた絵の具は渇いてパリパリになっている。爪でこするとぱらぱらと剥がれ落ちた。

絵の続きは明日にしよう。

まだ続きます。あと三話程度の予定です。

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