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私の運命の人は、こんなに近くにいたんだね。

作者: さくねゆき

子供のころの約束。

「………ちゃん、…そ……しあ……に」

誰かが何か言っている。

よく聞き取れない。

顔もぼやけて見えない、辺りの風景は緑というのはわかるがそれ以外はわからない。

だれ、だろう。



「………さま、…きて…」

なんだろう、誰かの声がする

「……さま、起きてください」

誰だろう、せっかく昔の夢を見ているというのに。

「お嬢様!起きてください!」

びっくりした。いきなり大きな声を出すから…

「おはようございます、お嬢様。今日は随分と長い間眠っておりましたね。」

そう言われて時計を見るともう時計の針は8時をさそうとしていた。

「お、おはよう、光さん!どうしよう、時間間に合わないかも…。」

ど、どうしよう、今日は学校に行かなければ行けない日なのに…。そう思っていると

「何言ってるんです、お嬢様。まだ充分間に合いますよ。」

光と呼ばれた男は優しくそうゆう。

慌てていたせいで時計を見間違えたみたいだ。

「すみません、光さん、時計を見間違えたので取り乱してしまいました。ありがとうございます。」

「お嬢様が時計を見間違えるなんて珍しいですね。何かありましたか?」

光は心配そうに聞いてくる。

「いえ、今日みた夢が懐かしい夢で少し浸ってしまいましたので。」

そう答えると光は

「そうだったんですか、よかったです。」

安心したように光はいう。

「心配してくれてありがとうございます。光さん。」

「いいえ、お嬢様の無事が確認できてよかったです。朝食が出来ているのでお早めに召し上がってください。」

「あ、はい、ありがとうございます。すぐに行きます。」

「では食卓で待っておりますので」

失礼しますと光は食卓に向かっていった。

私も早く行かなきゃな、そう思いながら着替えを始める。それにしてもなんで子供のころの夢を今更見たのだろう?そう考えながら食卓に向かった。




その日は特に何事もない日だった。

学校に遅れることはもちろんなく、平穏な日々を過ごした。




家に帰り、夕食を食べお風呂に入り就寝した。


その日も夢をみた。

どうやら朝の続きらしい。

「…ちゃん、約束。………しようね。……に……。」

やはり朝と同じように聞き取れない。

「…ちゃんは、僕が………にする…」

聞き取れない。モヤがかかったように聞き取れない。

周りをみる。どこだろう。

でも、ここ、どこかで見たことある。

いったいどこだっただろう。




「……さま、…きてください」

ん、だれ…?

「お嬢様、起きてください」

ハッと目が覚める

「おはようございます、お嬢様。」

優しい声で話しかけてくる。

「光さん、おはようございます。」

「おはようございます、お嬢様。また夢でも見ていたのですか?」

「よく、わかりましたね、昨夜の続きを見ていました」

「どうゆう夢を見ていたのですか?昨夜も見ておられたそうですが…」

心配そうに光が聞いてくる。

「いえ、子供のころ、誰かと何か約束したらしい夢なのですが…思い出せなくて…周り1面緑色、というのはわかるんですが…。」

それを聞いて光は考えるように

「それは気になりますね…。心当たりもないのですよね?」

と聞いてくる。もちろん心当たりはない。

「ないんですよね…」

残念そうに話すと光さんは今日はもう考えるのはやめようと提案してくれてその日は何事もなく過ごせることができた。


次の日も夢をみた。

「あかりちゃん」

私の名前が呼ばれている。懐かしい。

「あかりちゃん…僕…やく…しあ……に」

あと少しで聞き取れそう。でも聞き取れない。

周りはやはり緑色で、どこかわからない。でも、ここ、どこかで…少しゆっくり観察してみる。ただの緑色だと思っていたのにクローバーが咲いていた。中には四つ葉のクローバーもある。何か、思い出せそうな。

何か忘れている気がする。



「お嬢様、おはようございます!」

今日も起こされた。

「おはよう、光さん。」

「おはようございます、今日は1回で起きられましたね。」

少し笑いながら光はいう。

今日は夢を見なかったのですか?笑いながら言ってくる。私も少し笑って、今日も見ましたよ。と今日の夢を話した。すると光は

「多分お嬢様が大切なことを忘れているのではないのですか?」

という。やっぱり忘れているのだろうか。

男の子の顔が思い出せないのもそれが原因なのだろう。とりあえず今日は考えることをやめていつも通り過ごした。


その日もまた夢をみた。

「あかりちゃん、約束、大人になったら結婚しようね。幸せにするから。」

「あかりちゃんは僕が幸せにするんだよ!」

今日はハッキリ聞こえる。これ、昔のころ聞いた覚えがある。誰かが私に向けていってくれた言葉。

だれ、だったっけ。肝心なその人が思い出せない。

でもこの声、聞いたことある。

このクローバーの場所も行ったことある気がする。

男の子の顔は誰かに似ている。

だれ、だっけ…




今日は起こされなかった。光さんが来なかった。

起きた時間は8時だった。

光さんがいない。なんでいないのだろう。

今日は土曜日。学校はない。

光さんはいつもいるはずなのにいない。

探しに行こうと階段を下りると何か魔法陣が書かれていた。(これ、光さんが得意な幻夢術の…)

ハッとした。魔法陣をたどっていると光さんがいた。

光さんが何やら唱えている。

((夢、愛、恋、子供、クローバー))

魔法陣にはそれらが書いてあった。

光さんが涙を流しながら

((思い出して、あかりちゃん、早く))

と言っている。

涙が出た。

私はたまらず光を抱きしめ

「全部今思い出したよ。」

「この夢を見せてたのは光さんだったんだね」

と言った。光さんは涙を流しながら

「やっと思い出してくれたね。」

と抱きしめてくれた。





私と光さんは昔、よく子供のころ遊んでいた。その時

四つ葉のクローバーがたくさん咲くと噂の原っぱに行ったことがあった。

その時約束したのだ。



「あかりちゃん、大人になったら結婚しよう。約束だよ。僕があかりちゃんを幸せにするから、待ってて。」

「ひかるくん、ありがとう。ずっと待ってるね!」









魔法陣なんかなくてももう忘れないように。

しっかりと約束を果たそう。

私達は結婚した。幸せに暮らしています。

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