し、れん
昔の彼女から一通の手紙が届いた。そして、俺は彼女と会う事になった。
彼女に会うのは何年ぶりだろうか。忘れてしまった。最後に会ってからは音信不通になってしまっていた。
俺は彼女と会っても失礼の無いよう、そして少しでも礼儀の分け前た人間に見えるよう、ネクタイをギュット締め、黒色のスーツをピシッと決めた。
俺は家を出た。
彼女の所に行くために、俺は電車の中で揺られていた。
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彼女は俺の初恋の人でそして初じめて付き合った恋人だった。
俺はよく授業中に彼女の事をじっと見ていた。いや授業中とは限らない。俺自身、特に意識していたわけではない。ただ、無意識に彼女を目で追ってしまっていたのだ。
そして同時に、俺の知らない所で彼女も俺の事をよく見てくれていたらしく、クラスでは既に影でカップルと言われていた。
俺と彼女はそのまま流れ、付き合った。自然に。
それからは楽しかった。
一緒に遊んだり、勉強したりした。
彼女はとても頭が良かった。逆に俺の頭はポンコツだ。俺と彼女は一緒に理系のクラスに進学したが、俺は魚目燕石ぎょもくえんせきの似非理系で、化学とか物理とかさっぱりわからなかった。
そんな順風満帆だった俺の青春は突然、向かい風を受ける事になった。
ある日、突然彼女が別れを告げてきたのだ。
突然だ。あまりの突然に俺はショックを受けた。例え山が天から落ちてこようと、空がひっくり返ってきても、彼女だけいれば怖くない。なんて思っていたのに、突然一人になってしまった。
俺はまず理由を聞いた。すると、彼女は泣き出し「ごめん」とひたすら謝るだけだった。俺にはわからなかった。
何故、突然別れようと言い出したのかを。何故、泣いていたのかを。結局、俺は彼女と別れる事になった。何ももわからなく。
それは、俺にとって一つの試練だった。突然大事な者ものが消えるほど、辛い事は無い……のかもしれない。
しかし、人の心は案外、すぐに変わるものなのだろうか。
俺は試練を乗り越えた。そして、また彼女と再開する事になった。俺は正直緊張していた。
ただ、俺はやっとわかる事ができたのだ。彼女が何故、泣いていたのか。何故、別れようと言ったのか。
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俺は電車を降り、しばらく歩いた。
歩きながら頭の中で色々な事を思い返していた。彼女との思い出を。
忘れていた思い出を。
俺は彼女から貰った手紙を読み返した。そこには書かれていたのだ。
実は、まだ俺の事が好きだということと、俺と別れたのは俺のためであっとと。
最初はこの手紙はおかしいと思った。しかし、その後すぐに、全ての理由と答えがわかった。俺はこの手紙を大事にすると決めた。
目的の場所が見えきた。
建物の中に入り、進んで行くと、
そこには彼女がいた。
彼女はニッコリと暖かい笑顔を浮かべていた。
俺は「ごめん」と言って静かに遺影にお辞儀をした。
人の心は案外簡単に変わるものなのだろうか。
それは、俺にはわからなかった。
一時間でどんな感じの作品が作れるかのかなと思い作ったのですが、案外難しいですね。