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三十五話
どうして幸せは
私を避けて通るのでしょう
やっとつかまえた幸せなのに
音も荒々しく逃げ去って
やって来るのは苦しみばかり
幸せ求めて乗り越えた
苦しみだったはずなのに
またも、逃げ行く幸せが
悲しみだけをおいてゆく
追っても逃げゆく幸せなら
この世で幸せあきらめて
生きてゆくほか
ないのでしょうか
でも、人間はなぜか
死ぬまで夢を追う
「雪子の兄さんが事故死」
と、聞いた高杉先生は飛んでやってきました。
そして、雪子の肩に優しい暖かい手を乗せました。
雪子は、その人が誰だかわからないほど、混乱していました。
ただ、誰かにすがりたい、そうしないと、暗闇の中に沈んで砕けてしまいそうでした。
誰かが自分を支えていてくれないと、兄の所へ行ってしまいたい衝動にかられました。
時がたつのも忘れて、高杉先生の胸で泣いていました。
涙が枯れるまで泣きました。
(お兄ちゃんは、私を大きくするために、生き残っていたのでしょうか。私が成人したのを見定めたようにして、この世を去ってしまうなんて、、、)
思えば思うほど、涙は頬を伝わって流れ落ちました。




