二十八話
雪子に誘われて、加代はちょくちょく雪子の家に遊びに来ました。
悟に会いたい野心はないのですが、雪子さんのお兄さんって、どんな人だろう、ちょっぴり会いたい気持ちもあるのです。
雪子と雪子の家で、色々と話をして過ごす時間は、とっても楽しいものでした。
今日も、その楽しいひと時を過ごしていますと、悟がひょっこり帰ってきました。
悟と加代は初めて顔を合わせるのです。
二人共雪子から話は聞いているのですが、生身を見るのは初めてですので、戸惑いました。
悟は
(加代さんは、思っていたより美しく知的に豊んで、はちきれそうな顔をしている人だ、何と素敵な人だろう)
と、悟は一目惚れしてしまいました。
加代は、悟を見て
(雪子を親代わりになって、育てた人だけあって、何と頼もしそうな人だろう)
と、思いました。
それが二人の第一印象でした。
悟は、下腹にぐうっと力を入れて、冷静になろうと試みましたが、何となく上がります。
上ずった声で
「加代さんですね、雪子から話は聞いておりました。いつも、雪子がお世話になっております」
と、言いながら、悟は深々と頭を下げました。
「いいえ、いつもお留守の時にお邪魔いたしまして、お世話になっております」
加代も深々と頭を下げました。
すると、悟の頭にコツンと加代の頭が当たりました。
二人共おかしくなって、吹き出してしまいました。
それを見ていた雪子もおかしくなって、三人で大笑いしました。
ぎこちない雰囲気も笑いに飛ばされ幸せムードが三人を包みました。
体格の良い悟は、加代にとって、なお一層頼もしくうつりました。
目に見えない力で、加代の心は悟に突進していきました。
すると、胸の中が音を立てて燃え始め、赤らむ顔がわかりますがどうにもなりません。
そのような加代の顔を見て、悟は照れました。
そして、内心、僕は決めたぞ、この人をお嫁さんにしよう。
二人の恋の始まりでした。




