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十九話
お餅を食べられると思うと、重苦しいあの家に帰るのも、苦にならないのが不思議です。
畑の仕事でお腹もひどく空いているからでしょうか。
家に着くと、お餅がたくさん並べられていました。
「わあ、すごい」
二人は顔を見合わせ、にっこりしました。
叔母は、二人を見ると、お餅を納戸の物置部屋に直していまいました。
二人は芋粥しか食べられませんでした。
カラスとの出会いは、素晴らしい夢を見ているように幸せだったのですが、現実の厳しさは、涙も出ないほどに苦しいものでした。
翌朝、囲炉裏にはたくさんの焼き餅が並んでいました。
悟は雪子に
「沢山の餅だから、今日はありつけるかもしれないね」
と、耳打ちしました。
「うん」
雪子は笑顔を見せました。
兄の滑稽な顔が面白かったのです。
悟は餅は食べられないくともよい。
雪子の笑顔に満足するのです。
餅は叔父叔母、五人の子供がたいらげてしまいました。
叔母が
「お前たちは、ここにおいてやっているから、芋粥が食べられるのだ。町にいたって何も食べられやせん。有難う思え」
恩を着せているのか、言い訳か。




