十七話
二人だけの時間も終わりに近づき、叔父の家へ帰らなければならない時間となりました。
あの家へ帰らなければならないと思うと、気が重くなる二人です。
馬車馬のように働かされるだけで、夢も希望もない生活です。
今から、また、その生活に戻らなければならないと思うと、たまらなく嫌になります。
しかし、行く所どこにもありません。
焼け跡の小屋にいても、水も食料もありません。
死ぬのを待つだけの所なので、諦めて、二人は家路に着きました。
雪子も無口になり、虚しさだけが二人を包みました。
家に着きました。
そして、一二の三で家の中に入りました。
「ただいま」
「遅かったな」
叔父です。
「遊んでいたんだろう」
皮肉を言う、叔母です。
叔母は、悟が持っている風呂敷包みを見ました。
「それ、なんね」
欲の皮をつうぱらせた目で言います。
その姿は、不気味にさえ見えました。
山田さんに洋風を頂いたことを言うと、風呂敷包みをもぎ取り、息つく暇も惜しいようにして開きます。
「コリャー、いい服だ、いい服だ」
叔母はにこにこです。
二人に笑顔を見せたのは、この時が初めてです。
洋服を全部もらうための笑顔でした。
「雪子、お前は腐るほど洋服を持っているから、これは叔母さんがもらうよ」
「はい、いいですよ。どうぞ使ってください」
と、悟は言いました。
叔母が喜んでくれれば、それで良いと二人とも思いました。
また、洋服が欲しいとも思いませんでした。




