一話
あゝ、我が家に爆弾の雨が降る。
「空爆は止めてくれ」
誰もが願い叫んでいた。
しかし、願いは虚しく、毎夜のようにB二十九はやって来た。
その日は、土砂降りの雨の日のことです。
雨は庭に作って有る防空壕の鉄板の上を、飛び跳ねしぶきをあげていきました。
春枝は雨を見ながら言いました。
「いくらの敵兵でも、こんな雨の中を空爆には来ないだろう、今日は久しぶりに眠ることが出来るね。」
毎日、空襲のサイレンに起こされ、眠れない日々を送っていたので、春枝を始め、悟、雪子は心から喜んで床に就きました。
しかし、眠る間もなく敵機は、雨の日を狙ったようにしてやって来ました。
そして、雨よりも多くの爆弾を落としました。
あゝ、我が家に爆弾の雨が降る!!我が家は爆弾の下敷きになろうとしている。助けを求めるが誰も助けない、誰もが助けを必要としているから、誰の頭上にでも爆弾が落ちているから、パニック!!
雨と降る爆弾を受け止める、磁石の天幕が有り、落ちてくる爆弾を吸い寄せ、他の場所へ移動させることが出来るなら、、、
それが出来ないばかりに、爆弾の下敷きになり人々は傷を負い、家を失うこととなりました。磁石の天幕がないばかりに、苦しみもがいて多くの人々が死んで逝きました。
戦争は人々の幸せを根こそぎ持っていき、不幸は一瞬にして襲ってきました。
少しずつ大切に積み上げてきた、幸せだったのですが、不幸は不意に予想外の強さで、どっと押し寄せて来ました。
それは、昭和二十年六月二十九日の夜の事です。
雪子は十歳、悟は十六歳の誕生日を迎えたばかりでした。
このような幼い子供の上にも容赦なく迫って来ました。




