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みんなの音が聞こえる。
ブレスが重なる。
音程はバラバラだけど……
朝練だから、まぁいっか。
―-キーンコーンカーンコーン
丁度、曲が終わった時にチャイムが鳴った。
「タイミングいいね~!」
ユーフォの里美が笑いながら言った。
「だからね!あ、今日体育じゃん!」
「ええーいいじゃん!体育!」
「良くないよ!長距離だよー?」
「あー。ダメだな」
ユーフォの里美とトロンボーンの百合子の話が面白くて、
あたしと美歌はクスクス笑っていた。
そのとき。
――ズキッ
「い……った」
あたしは思わず、頭を押さえた。
あたしの声にいち早く反応した美歌。
「麗紀、どうしたの?」
「あ、ううん。大丈夫。最近、頭の右側が痛むことがあって……」
「ええ……。それ、大丈夫なの?」
「うん。大丈夫」
あたしはここ最近、頭痛が激しい。
急に、ズキンと痛む。
まあ、あまり気にしてないけどね。