4/9
4
最後だから、『金』を取りたい。
この気持ちは、きっとみんな同じだ。
「あ!先客だ―!」
そのとき、聞きなれた声が聞こえた。
声のした扉の方に目を向けるとそこには、すでに楽器を持っているクラリネットの由愛とホルンの裕香。
……だけかと思ったら……
「おはよう!」
「先輩!おはようございます!!」
なんと、吹奏楽部の部員52名。
全員大集合。
「わ――!ちょっと!いきなり来すぎ!!」
美歌が、フルートを守りながら叫ぶ。
52人全員が、一気に狭い音楽室に入る。
なんで、こんなにあたし達の学校の音楽室は狭いんだ……。
合奏の時だって、いつも窮屈で仕方がない。
「ねぇ!みんな揃ったんだし、合わせよ!!」
そのとき、部長の紗夜が言った。
その紗夜の言葉に、みんなが頷いた。
時計をチラっと見る。
今は、8時15分。
予鈴が鳴るのが、8時20分。
たぶん、間に合うだろう。
「じゃあ!行きまーす!!!」
部長の紗夜の掛け声で、みんなが構える。
「1、2、3、4!!!」