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コブシの魔術師  作者: お目汚し
8/65

その男、ハンス

ハンス君に見せ場を!!な回


休憩をはさみながら歩くこと2時間半。

オレ達は、近くの街についた。


よくある城壁に囲まれた街で、大きさは10Km四方くらいはあるだろうか。

この中に大体3000人規模の住民が暮らしている。

王国内の城塞都市としては小さな方らしいが、生まれてから、この街と郊外の小屋でしか生活したことはないため、

大きな都市がどの程度なのかは、知識としてしか知らない。


正面の門に進むと、短い入国の列ができていた。

ちなみに、大門は閉じられており、大門の右脇に通用門のような小さめの門がある。


そこに、関所?検閲をしているのか、衛兵の詰め所が併設されており、通行人のチェックをしているようだ。


ハンスと一緒に、門に並ぶ人たちの後ろに並ぶ。


旅人たちが多いのか、装備をしっかり整えた人たちが多い中、両手に食料品や消耗品を下げ、軽装なうえに子供連れの

オレ達親子は、ちょっと目立っていたようだ。


「おっさん、この子供は売り物か?」


突然、ガラの悪そうな男に声をかけられた。


「・・・・」


ハンスは、まっすぐ前を向いたまま、何の反応もしない。


「おい。おっさん、お前に聞いてんだよ」


そういうと、ガラの悪い男はハンスの肩を突き飛ばした。


「ふぎゃッ」 ドサッ・・・


と、おかしな声を出して、地面にしりもちをついた・・・ガラの悪いおっさんが。



「てめえ、手を出しやがったな!!」


そういいながら、さらにガラの悪い男が2人、絡んできた。


ハンスがめんどくさそうに、ちらっと見ると、さらにめんどくさそうにため息をついて、

両手の荷物を降ろした。


「あのさ、20代のナイスガイにおっさんはないと思うんだわ」


ハンスはそういうと、しりもちをついていた男を片手で引き起こした。


「痛ててて・・・骨が、骨が折れた!!」


引き起こされた男が大げさに騒ぎながら、二人組と合流し、ガラの悪い3人組になった。


「おお、こりゃ骨が折れてるじゃねぇか。どう責任とってくれるんだ?ああ!!」


「ひでえな、こりゃ慰謝料たんまりもらわねえとな」


口々に言いながら、ハンスににじり寄る。


「こりゃ失礼したな。黙って聞いてりゃ調子に乗りやがって」


ハンスが全く緊張感もなく、かけらも威圧感のない口調で吐き捨てた。


「折れてもいねえ骨の慰謝料なんか払う気は無え」


「お、てめえ俺らが嘘つきだとか言うんじゃねえだろうな?」

「選ばせてやるよ、無傷で有り金全部置いてくか、痛い目見てから置いてくか、ついでにそのガキも置いてけや、代わりに売ってきてやるよ」


骨が折れたと騒いでいた奴もニヤニヤしながら後ろから見ている。

うん、こいつらにパンチしたらどうなるのかな?消し飛んじゃうかもしれないけど、

あんまり後悔しないかも・・・


なんて、考えていたら。


「さえずるな、悪党が」


ぼそっとハンスが、低い、それでいて、はっきりと耳につく声で言った。


「誰の子を置いてけだと・・・」


列に並んでいたので、当然周りに旅人はいた。

ただ、よくあることなのか、旅の余興だと割り切っているのか、遠巻きに見ているだけで、

誰も助けにも入らなければ、われ関せずを決め込んでいた。


だが、ハンスの一言で、周囲の空気が変わった。実際、一瞬にして冷えた空気を感じた。

その瞬間、周りにいた冒険者風の旅人たちは、一斉に自分の武器に手をかけた。


「な、なんだよ。お前がケガさせたんだろうが、逆切れかよ」


ガラの悪そうな男たちの、リーダーっぽい奴が絞り出すように言う。


「どのケガのことを言っている?そぎ落とされた、お前の鼻か?それとも、切り落とされたそいつの腕か?それとも、全身の骨が折れちまったと、泣いてるそこの男か?」


言葉が終わると同時に、いつの間に抜いたのか、ハンスの剣が、チンピラリーダーの鼻の下にぴったりと添えられている。


「ひぃ!」


見ると、リーダーだけじゃなく、すぐ後ろの男の長そでシャツは、ひじから両袖が切り裂かれ、半袖に。自称骨折男は、皮鎧ごと服を切り裂かれ、半裸になっている。


「で、俺は機嫌がすこぶる悪いんだが、どうやってご機嫌にしてくれる?」


ハンスは口元でニヤッと笑い、目は全く笑っていない顔で、チンピラリーダーに絡む。


「うちのかわいい息子が、おじさんたちが晩飯をたらふく、ご馳走してくれるはずだから、許してあげて、と言っている」


「ひぃ」


「なぁ、そうだろぅ?」


ハンス、それは脅迫というもの以外の何物でもなく、息子の前ですることではないうえに、息子のせいにするのはいかがなものか・・・でも、肉は食べたいな。


「特に、肉を食いたいそうだ」


おお。以心伝心。


「お、おれら、街に入れないって言われて、つい、むしゃくしゃして絡んじゃったんです」


チンピラ君たちが慌てて弁解を始める。


「で、肉は?」


3人は、大慌てで自分たちの財布を取り出すと、中身をぶちまける。


「ほう、銀貨3枚か。まあ、晩飯の足しにはなるか・・・」


ハンスはそういうと、銅貨には目もくれず、銀貨のみをひろう。


ちなみに、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚。オレの感覚で行くと、金貨1枚が10万円くらいな感覚で大体あっている。


「失せろ。次にちょろちょろしてると、服切るような面倒はしないぜ」


チンピラ君たちは、銅貨をかき集めると、大慌てで街と反対方向に走って行った。

あの方向には、街の中に入れない人たちのスラムがあり、彼らはそこのならず者だと、後から聞いた。


「お騒がせしてスミマセン」


ハンスは、人の好い笑顔を見せながら、ぺこぺこして列に戻ると、降ろした荷物をふたたび担ぎ上げた。


武器に手を添えていた冒険者たちが、指を引きはがすように姿勢を戻していくのを横目に、思った。


ハンスって、何者??





長くもない列の、中ほどでもめ事があったが、しばらくするとオレ達のチェックの順番が来た。

少なくとも、衛兵の目の届く範囲でカツアゲ的なことを、うちの不良親父はやったわけだが、問題はないのか??


「ずいぶん荒稼ぎしてましたね」


ハンスよりも幾分若い感じの衛兵が、気さくに話しかけてきた。


「あれ?見てたでしょ。俺悪くないっしょ?」


あんたもずいぶん軽く答えてるな・・・

そう思ってみていたら、あ、こいつ銀貨一枚衛兵に渡してる・・・


「あ、いや、ハンスさん。そういうつもりじゃなくて・・・」


衛兵は慌てた様子で、銀貨を返そうとしている。


「いいって、お前、好きな子ができたんだろ?足しにならんかもしれんが、なんか買ってやれ」


そういって、ハンスは受け取らない。

先ほどのカツアゲを目撃していなければ、よいシーンだと思う。


「いつもスミマセン」


あきらめた様子で衛兵は銀貨をしまった。


「でも、これはいつものように・・・」


「あ、それは言うなよ」


ハンスは俺の方を気にしながら、慌てた様子で衛兵の口を覆う

ん??


「むーー、ぶは、ということは、この子がルキノ君ですか?」


衛兵はそういうと、俺を見た。


「こんにちは」


挨拶は先制が大切。サラリーマン時代の鉄則だ。


「あ、こんにちは」


衛兵のお兄さんも慌てて挨拶する。ふ、まだまだ甘いな・・・


「ハンスさん、今回は息子さんも一緒ということは・・・」


「ああ、後で詰め所にも顔を出すが、森が騒がしい・・・」


そんな会話を始めてしまった。が、すぐにオレのことを思い出したのか、

とりあえず、街に入れるように手続きをしてくれて、あとは、詰め所で・・ということになった。


ちなみに、街の人間は、ほぼ例外なくハンスのことを知っているらしい。

曰く、勇者だとか英雄だとか、いろいろ言う人がいたが、本人はむずがゆいらしく、ただの農夫だといって、否定していた。


宿屋に泊まるのかと思っていたが、どうやら知り合いの家に泊めてもらうそうで、手土産を買って、訪問するとのこと。


7歳だか、8歳のころにこの街を出てしまったので、ハンスの知り合いのことも今一つ覚えていないが、冒険者だったころの仲間も、この街にいて、私塾のようなものを開いていたり、ギルドに登録して、冒険者を続けている者もいるような話を聞いた気がする。

そのうちの一人の家に泊めてもらおうということらしい。


ハンスは時折、一人で街に来て、消耗品や図書館の本を借りてきてくれたが、家にオレがいたため、日帰りで街に来ていた。

今日は久しぶりに酒を飲むと息巻いていたので、今日くらいは良いかと、許可してあげた。


で、ハンスの友達のうちに向かったのだが、彼女がオレのMP0についてや魔法抵抗力のことを教えてくれるのではないかと、ハンスは期待してきたらしい。

彼女は、大魔術師。その名もマーリン・・・


ね、聞いたことある名前じゃない???


前途多難な予感しかしない。

今日は連投してしまったので、話の流れが雑な気がします。

楽しんでいただければ幸いです。

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