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コブシの魔術師  作者: お目汚し
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称号マニア?!

だらだらと書いてしまいました。

戦闘が書きたいのですが、いま、こいつが戦ったら大変なことになりそうです・・・

窓の外に、爽やかな朝の日差しが見て取れる。


ベッドの上に身を起こすと、脱ぎ捨てたはずのシャツをちゃんと身につけ、

毛布をかけられた自分に気がつく。


「あれ?夢だったのかな??」


そう思って、ベッドをぬけ出す。


「おう、早いな。おはよう!!」


ハンスだ。


「父さん、おはよう」


「おう、起きたんなら顔洗って、着替えてこい。飯にするぞ」


いつになく上機嫌に、ハンスが言ってくる。


「父さん、昨日は遅かったの?」


オレが聞くと


「お、昨日はそれほどでもなかったけど、ゴブリンが出ただろ、念の為に森の周りを一周してきた」


そう言うと、朝ごはんなのだろう、サラダを作り始めた。


「顔、洗ってくるね」


「おう」


外に出ると、昨日と同じように、いつもと同じように、井戸から水を汲み上げると、そのまま顔を洗った。


いつもどおりの黒髪黒目な11歳の少年の顔が水面に映る。


なんとなく、手を膝の辺りに付き出して、目を凝らすと見える光の粒子をかき混ぜてみる。


極小のホタルのような燐光が一気に手にまとわりつく。


そのまま、なんとなく空に向かって拳を突き上げる。



ドバンッ!!



瞬間的に空気が圧縮されたような爆発音がして、大気を震わせる。


驚いて目を向けると、流れていた雲に大穴が空いていた・・・


「どうした!!!」


ハンスが慌てた様子で飛び出してくる。見ると、片手に長剣を握っている。


オレが無事なのを見ると、すぐさま背後にかばい、森と街道を睨みつける。

こんな状況でいうのも何だが、鋭い眼光で結構カッコいい。

ハンスはオレを背後にかばったまま、家の中に入った。


「ルキノ、何が有った?俺の知っている魔術であんな音がするのは、かなりの上位の魔法だぞ。何か、異変は無かったか?」


ハンスが、オレの顔を覗き込んで聞いてくる。その間も、気配だけで周囲を警戒していることが分かる。

我が親父ながら、歴戦の勇者って感じね。

そんな馬鹿な事を考えていたら


「やはり、何かが起きているな」


ハンスはそう結論付けると、作りかけのサラダを、弁当箱に詰め始めた。


「これから、街に行く。お前には辛いことを思い出させるかも知れないが、昨日の魔法抵抗力の件も有る。こんな状況で郊外に居るのはまずい。」


そう言うと、手早く弁当箱を背嚢に詰め込んで、身の回りの物をまとめ始める。


「お前も、持ち出したいものをまとめろ。最小限にしておけよ。また、取りに来ればいい」


そう言いながら、え?それ使う?というものまで荷物にし始めるハンス。


「父さん、枕は街にも有るんじゃない?」


「お、枕が変わっても寝られるように成ったのか?おとなになったな」


こんな時にも、父さんはオレのことを第一に考えてくれているようだ。だが、アダルティな11歳にはもはや枕ごとき問題は無い。


「あ、毛布は持って行こうかな」


「お前さあ・・・」


そんな漫才じみた会話の後、防具を着込んだハンスが大剣を軽々と剣帯に吊るすと、カイトシールドを片手に、


「ちょっと周りの安全を確認してくる。お前は少し待ってろ」


そう言い残し、家を出て行った。



十分にハンスが家から離れたことを確認すると。


「琴ちゃん、居る?」


”私はマスターのスキルですから、いなくなることはありません”


と、可愛らしい声が聞こえてくる。


”ちなみに、声を出さなくても意志の疎通もできますので、心配ならそのようにお願いします”


そう言われた。そういえば、昨日も途中から頭のなかだけで話していたことを思い出す。


”どうしましたか?”


先程無意識で雲を消し飛ばしてしまったことを相談する。


”マスターが昨晩、「魔素認識」を獲得したことで、スキルの発動が容易になっています”


とのこと。


無意識で腕を振り上げた位の感じだったが、それが雲に穴を空け、ハンスが飛び出してくるくらいの炸裂音がしたのには驚いた。


”マスターのスキル「パンチ」は、マスターレベルに達しているため、全力を出せば、世界が崩壊するレベルです”


琴ちゃんが、恐ろしいことを口にする。


”マスターが望むなら、世界の破壊と創造が可能です。一からすべてを作り変えることも出来るでしょう”


と、さらに恐ろしいことを言われた。


「そんなつもりはないんですが・・・」


思わず声に出てしまう。チートなスキルには憧れたが、使いみちに困るスキルだ。少なくとも、引きこもりの11歳には過ぎた力である。


「誰かいるのか?」


気が付くと、後ろにハンスが居た。


「え?一人だよ」


訝しげにハンスが家の中を見回す。


「そんなつもりはないとか、言ってなかったか?」


「ああ、ひとりごとだよ。昔の事を思い出してたんだ。街のコト」


そう言うと、ハンスは少し悲しそうな顔をした。

ごめん、この逃げ方は卑怯だった。


「スマンな、今のところ異常は無いようだが、どうもここ数日、様子がおかしい。やはり念の為に、街に行こう」


そう言うと、ハンスは背嚢を背負う。そのままオレを抱き上げようとするので、


「父さん、大丈夫。歩けるよ」


オレは、苦笑して立ち上がった。





鍵もかけずに、と言っても盗まれるものもろくに無いのだが、ハンスとオレは街に向かって街道を歩き始めた。


例のガキ大将の居る、大農夫の家の前を通るときに、ハンスがオレを家の前に残して、立ち寄った。

一応、お隣さんに異常を知らせてくるらしい。

幸い、外で待っている間もガキ大将たちは姿を見せず、オレは、道端でボーッとしている・・・と見せかけて、琴ちゃんと話をする。


さっき、話しが途中に成ったけど、パンチの威力って変動だよね?それに、雲を射抜くってもはやパンチではないような気がするけど。


”どれほどの魔力を使うかによって威力は変わります。先ほどの場合は、マスターの周りに有った魔素5000強を1000弱の魔力で使役したため、総量5,000,000の威力でパンチが発動しました”


ほ、ほほう・・・


”その結果、1万メートル上空の飛竜が撃墜され、吹き飛びました。距離が離れていたため、アイテムドロップはできませんでしたが、経験値2500を得たため、レベルが12となっています”


「え?」


慌てて、ステータスウインドウを表示した。




種族:人間

名前:ルキノ

性別:男

職業:農夫見習い

称号:神童と呼ばれた子 お留守番 引きこもり 読書家 草むしりマスター お手伝いマスター いじめられっ子 真拳神 大賢人 覇者 魔神 ドラゴンスレイヤー


レベル12

HP:98

MP:0


力(攻撃力):33

頑丈(防御力):45

体力(抵抗力):45

精神力(魔法抵抗力):0


スキル:「スキル一式」




なんだか、覚えのない称号が増えている。しかし、意外と攻撃力とかは上がってないな・・・

そして、トレードマークの様に、MPと魔法抵抗力は0。

ただ、なんとなくだが、ドラゴンスレイヤーって、格好いいけど、11歳でこれは、まずい気がするんですが。


”問題ありません、覇者の称号を獲得している人間は、ドラゴンスレイヤーくらいは持っています”


ええ!!、そうすると、他の称号にも大問題がありそうな気がする。

どんな意味があるの??


”真拳神は、世界で唯一。「パンチ」スキルのマスターレベル保持者のみの称号で、「森羅万象」にも、前例は記載されていません”


と、興奮気味な声で告げられた。

ちょっと、いきなり問題発生な気が・・・


”大賢人は、この世の理をある程度理解しているという称号です。100年に一人くらいは居ます”


・・・これ以上は心臓に悪そうな気が・・・


”覇者はユニーク称号です。こちらも世界で一人しか持っていませんが、現在生存する者の中で、最も低レベルで攻撃力1万以上の攻撃を行い、魔物を討伐したものに引き継がれる称号です。魔人は魔力認識ができて、ある程度魔力に干渉できれば得られる称号ですので比較的多いです”


いま、さらっと恐ろしいことを言われた気がする。

覇者って称号は、誰かから奪ったことになるのか?


”マスターが獲得する前に、覇者の称号を持っていたのは、この先の街に居る。大魔術師マーリンです”


ええ!!近くの人なのー。バレたらまずくないか・・・・。


”ちなみに、15歳の時、攻撃力30のファイアーランスに魔力350を込めて放つ練習中に、的の横に自然発生していた妖魔虫を焼き殺したため、獲得しました”


・・・微妙に凄いような凄くないような・・・


”妖魔虫はフライタイプ。そのまま成長した場合、街の人口が半減する恐れが有る個体でした”


やっぱり凄いのか?評価が別れるところだ。ちなみに、本人も何故称号がついたのか、理解していなかったそうだ。


まあ、ステータスウインドウは可視化しなければ問題は無いとは思うが、結構いかつい感じの称号がついてしまった気がする。


”マスターは、称号を見られることを嫌うのですか?”


まあ、悪目立ちするのも問題だよね、11歳だし。


”確かに、「ひきこもり」や「いじめられっ子」は恥ずかしいですね”


いや、そっちじゃなくてね・・・と突っ込もうとした時。


”これらの称号は不可視にしましょう”


そう言うと、琴ちゃんがこともなげに称号を消去した。


”これでマスターにふさわしくない称号は見えませんね”


琴ちゃんは見えたらきっと良い笑顔であろう声で、そう告げた。


あの、琴ちゃん?称号って消せるの??


”称号は消してしまったら元には戻せませんので、どんな称号でも消去なんて勿体無いことはしません。一時的に見えなくしただけです”


勿体無いって・・・まあ、そこはいいとして、見えなく出来るの?


”はい、データ領域の訂正はこちらからも干渉できます。ただし、とったことのない称号を表示することはできません。残念ながら・・・”


琴ちゃんが心底残念そうに告げる。


琴ちゃんて、称号マニアなのね・・・そう思いながら、お願いしてみる。


覇者と大賢人と真拳神、それと、ドラゴンスレイヤーも見えなく出来る?


”それだと、マスターの折角のかっこいい称号が、全く無くなってしまいます”


憤慨したように、思いのほか強い反発が有った。

だが、まだ状況の把握もできていない状態で、あまり目立つ称号を晒しておくのもまずい気がする。たとえ見えていなくても。

念には念を・・・というし。


”わかりました。確かにステータスを見破るスキルも存在しますので、念のため、不可視にしておきます”


ありがと。あ、あと、ひきこもりといじめられっ子、は可視化しておいて。油断される方がいいから。


”わかりました・・・”


ひどく、不機嫌な感じだ。

でも、目立つ称号をもし見られたら、説明も面倒だし、琴ちゃんと二人だけの秘密ということで・・・


”!!!”


ん?苦し紛れに言ってみたが・・・


”はい、二人の秘密ですね。称号を秘密にするんですね!!”


妙にハイテンションだ。


ついでに、起動したスキルもグレーアウト表示に見えるように細工してもらい、レベルも外からは3に見えるようにしてもらった。

他のステータスも、レベル3の時の物に変更してもらう。


「待たせたな」


ハンスが帰ってきた。


随分荷物が増えているが・・・と思ったら、昨日息子を助けてくれたお礼ということで、食料と消耗品をどっさりとくれたらしい。

これから街に行く身には少し荷物が多いが。ハンスは問題なさそうだ。



「よし、街に向けて出発!」


ここから街までは、歩いて2時間程度の道のりだ。オレの足で2時間かかるが、ハンスが本気で走ると10分を切るらしい。

相変わらず、凄い男だ。


とりあえず、苦い思い出の残る街にむけて歩き始めた。


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