新たな希望と絶望?!
一度書いた内容が欲張り過ぎだったため、まとまらなくなり、書き直しになりました。行き当たりばったりでスミマセン。
起動方法もわからないまま、他に色のついたスキルは無いのか?
ひたすらスキル欄の下方向を目指して、フリックしまくる。
そうこうするうちに、スキル欄が最下層に行き着いた。そこで、ふと手が止まる・・・
スキル欄の下側に、やけにスペースが空いている?まるで、ネタバレ防止のために、背面と同じ色で文字を配置した時のような・・・
オレの記憶の中にある、ネットサーフィンしている時の感覚が、このスキル欄の謎に迫る!!
そんな大げさなものではないが、勘の命ずるまま、空白に見えるスキル欄にタッチした。
「なんだ?これ」
そこには、デカデカと、たったひとつのスキルが隠されていた。
スキル名:パンチ
気が抜ける名前である・・・これも、グレーアウトどころか、ブラックアウトしていたために、全く見えなかったわけだが、ネタバレ防止の心遣いと一緒で、選択状態になったため、見えるようになった。なぜ、こんなにデカデカと表示されているのか・・・
大体パンチなんか、子供の喧嘩でも使うものであり、スキルってほどものじゃ無い・・・と思う。微妙な上に、デカデカと主張する、それでいて見えなくなっている謎なスキル「パンチ」こいつも、起動していない以上、意味は無いと思うのだが、選択状態になっているのだからと、タップしてみる。
「ん?!」
スキルが開いた!!と言うか、先に進んだ感じだ。スキルの詳細が記述されて、何やら桁数の多い数字が羅列されている・・・
スキル名:パンチ
攻撃対象に左右の拳か、それに類するもので攻撃するスキル。左を制するものは世界を制する。すべての武術・武技の基本。極めしものは、森羅万象に通じる。
基本攻撃力:変数(0~)ただし最大攻撃力は熟練度数値まで
熟練度判定:253(蓄積ポイント192934563223412553341234513123415・・・12)
熟練度は100ポイントで1上がります
ポイントをすべて熟練度に割り振りますか?
Y / N
と書いてある・・・
と言うか、何か選択肢が出ている・・・
とりあえず、NOを選択しておく。そして静かにウインドウを閉じた。
「何だ今の?」
誰もいない小屋の中で、一人つぶやく。
MP0でスキルが一切使えないと気付かされた時、この世の終わりかと思うほど泣けてきた。ハンスの前で泣くのも嫌だったから、我慢していたが、街の子供たちにいじめられるようになって、表にもでなくなった。ハンスは気がついて、街を出る!と突然オレに告げた。魔物を倒すばかりじゃつまらないし、お前に物を育てる楽しさを教えたい!!と言って、この小山で生活するようになった。そんな小屋の中で、いまオレは途方に暮れた・・。
「何だ今の??」
全く使えないと思っていたスキル欄の一番下に隠された、ブラックアウトしたスキル「パンチ」。普通ゲームか何かだったら、もう少し格好良く「正拳突き」とか「バーストナックル」とか、もっと厨ニっぽくてもいいから、雰囲気のある名前じゃないのか?よりによって「パンチ」・・・格闘ゲームの基本技じゃないか?!
しかも、攻撃力の算出がおかしい・・・ずっと違和感は有ったのだが、オレはゴブリンとゴブリンリーダーをいずれもパンチで倒した・・・
そう思って、もう一度スキルを見直す。
何度見ても、パンチとしか記述はない・・・
熟練度とやらが253ということは、攻撃力の判定も最大で現状、253まで出せるということだろうか??
蓄積ポイントという物があったが、とりあえず、とんでもない桁数だった。故に、数えることもできない。最大の桁数は無量大数だった気もするが、それも軽く超えている気がする。
100ポイントで熟練度が1上がると言われても、単純な話、いま表示されている熟練ポイントの二桁下の熟練度になるということなので、おそらく、オレは人外の力を持つことになる・・・
ハンスがファイヤボルトの攻撃力3000を凄いと言っていたことを考えても、パンチで250オーバーの攻撃力は、結構洒落になっていない気がする。
ふと思い立って、拾ってきた自分のショートソードを装備してステータスを見てみる。
種族:人間
名前:ルキノ
性別:男
職業:農夫見習い
称号:神童と呼ばれた子 お留守番 引きこもり 読書家 草むしりマスター お手伝いマスター いじめられっ子
レベル3
HP:25
MP:0
力(攻撃力):13
頑丈(防御力):25
体力(抵抗力):25
精神力(魔法抵抗力):0
スキル:「スキル一式」
あれ?何も変わらない?
装備品は装備しないと意味がないぞ!・・・という、現世でのRPGのNPCがよく言うテンプレなセリフを思い出したのだが、手に持つだけではダメなのだろうか?
構えてみたり、振ってみたりするが、全く反応がない、それ以前に、パンチの攻撃力である253はどこに行ってしまったのか??
とりあえず、剣をしまうと、今度は素手で構えてみる。・・・変化なし。
意味がわからない。仕方ないのでシャドウボクシングのように、その場でシュッシュと拳を突き出してみたりするが、ステータスは一向に変化しない。
やはり、緊急時でなければ発動しないのだろうか??
今できることと言えば、パンチスキルの中にあった唯一の選択肢、Y/Nに返事をするだけだ。
しかし、これにYesと答えた瞬間から、人外の化け物に成ってしまうような気もする。だが、今できることもない以上、それしか選択肢は無いのだが、果たして制御できるものなのだろうか?
一抹の不安を覚えながらも、天啓のごとくある考えが浮かぶ。
何も変わらないかもしれない・・・
実際、今も253の攻撃力と表記されているのに、ステータスでは攻撃力は13のままだ。発動しない以上、熟練度を上げたところで、問題は無いのではないか?
悪魔のささやきかも知れないが、他に選択肢もない以上、これにNoと応え続けることに意味は無いようにも思える。
「もともとチートスキルを望んでたんだしな・・・」
もう、気分はYesと答える方向にしか向いていない。
よし、もう良いや、上げてしまおう!!
決心すれば行動あるのみ!!
スキル一式の表記を開き、最下段の隠しスキルを選択してタップ。そのまま、選択肢まで進んだ。
ドキドキしながら、それでも確固たる意思を持って、Yをタップした!!
熟練度アップを選択しました。これにより、パンチスキルの熟練度はマスターレベルになりました。
ユニークスキル「森羅万象」と「理を知る者」が開放されました。
起動しますか?
Y / N
おお!!新しい選択肢が現れた。
ひとまず、パンチスキルは熟練度がマスターレベルとやらに成ったらしいが、数値としてはいくつなのかわからなくなってしまった。
意外と、999辺りで止まったのかもしれない・・・。それよりも、新しいスキルは、起動するかどうかを聞いている。ここでMPが足りませんとか言われたら目も当てられないが、ここまで来たらYesしか無いでしょう!!
オレは迷わずYをタップする。
すると、突然頭のなかに性別のよくわからない、声みたいなものが響いた
ユニークスキル「森羅万象」と「理を知る者」が起動しました。
今後は、「理を知る者」を通じて、「森羅万象」にアクセスできます。
ユニークスキル「理を知る者」のマスターとして、人格名ルキノが登録されました。
今後、ルキノの呼びかけに対してのみ、「理を知る者」は助言を行います。
アナウンスが終了すると、再び辺りは静寂に包まれる。もちろん、部屋の中にはオレしかいない。
ということは、今のはオレの妄想だったりするのかな?
”いいえ、世界の声とも言われますが、この世界のシステムの声です”
うお、なんかさっきと違う声が聞こえてきた!!
誰だ、お前は!!
”私は「理を知る者」、あなたをマスターと認識し、今後マスターの指示で行動・思考致します”
なんか、返事が来た。え、スキルを開放した結果、オレの頭のなかに、もう一つ人格ができたってことか??
”いいえ、私はマスターに理解しやすいように説明すると、コンピューターのインターフェイスのようなものです”
ファンタジーな世界に全くそぐわない説明きたーー
”マスターにならば、意味は理解できると推測しました”
その通り、意味はよくわかりました。オレのことを良く理解してくれているみたいだ。
そうすると、「理を知る者」さんは、オレにとってグーグル先生みたいなものなのかな?
”ググれカス!!とは言いません。検索したい事項が有れば、お答えします。様々な事象の、代行も可能ですが、現実世界への干渉をご希望の場合は、マスターの力が必要です”
なんだか、結構フランクな感じで話しができている。だが、ちょっと引っかかっていたんだが、「理を知る者」さんて、神官さんたちが神の声って呼んでる存在だった気がしますが・・・
”その通りです。今までは、マスターが特に設定されていなかった為、真摯な願いの場合には、助言を行うこともありました。前回、助言をしたのは21年と76日前です”
あら、オレ専用に成ってしまって良いのかしら・・・ん?でも、最後の助言が21年以上前ということになると、数年前に聖戦と言われた戦争が有ったはずだが、アレは何だったんだ?
”王国の策謀により行われた周辺国への侵略戦争の事を指していると思われます。純粋に王国の利権のための戦争であり、世界の意思に導かれては居ません”
うわ、あまり聞いてはいけないことだった気がする。しかし、当たり前のように今、話をしているが、とんでもないスキルを手に入れてしまった気がするぞ。
そうなると、「森羅万象」ってなんなんだ?
”ユニークスキル「森羅万象」は、この世のすべての理が記された書物が収納されている図書館です。私を介して図書館にアクセスすることで、マスターはすべての事象について、理解することが可能です”
いちいち噛み砕いて説明してくれる、「理を知る者」さん。有能すぎる。やり手秘書さんみたいだ。
”・・・”
この手の話には返答は無いんですね。さて、そうなると情報を色々と得られることに成ったようだが、いろいろと聞きたいことはあるな。
そうだ!目下の所一番の問題は、「パンチ」のことだ。なんで使えないんだろ?
”スキルを使用していないためです”
え?どういうこと。パンチしていたつもりなんですが??
”先程マスターが行っていたシャドーは、拳打を使っていました。スキルとして「パンチ」を発動していなかったため、攻撃力は通常のものになります。”
そうすると、どうすれば?「パンチ」を使うにはどうすれば良いのでしょう?
”解:スキル「パンチ」は既に恒久起動状態にあります。スキル使用の際には、MPを消費して発動させてください”
え?
”MPを消費して発動させてください。この世のすべてのスキルは、MPを使用して発動されます”
なんか、元に戻った気がしますが・・・オレは途方にくれるしか無いのだろうか・・・・
読んでくれている方が増えているみたいで、嬉しいです。お目汚し失礼致します。