世界を望み 世界を憂う者
一風変わった展開を・・・
闇
その中に色はなく、ただ闇の色は黒ではないということだけは言える。
黒も色の一つだ。
光のない世界は、闇。
光のない世界には、色がない。
そんな色もない世界に、意志が漂う。
世界を救うために勇者を創った。
力を求めるものにそれを与えた。
望む力が手に入れば、思うように出来るだろうと彼らの望むままに、力を与えた。
だが、あるものはその力に溺れ、別のものは望んだ力なのに使うこともなく。
忌々しい、あの大悪党は、魔物や魔獣だけでなく、あろうことか魔王までも配下として
力を持ったはずの勇者たちも退けながら
この世界を・・・
だが、最後の勇者たちが上手くやってくれた。
かの大悪党は倒され、再び元の世界に戻った。
あのまま滅びるかと思われたあの世界も、勇者の生き残りが英雄となり、
国を起こして、この地を平定した。
あの頃のように、人間同士がいがみ合い、憎みあうことはもはやない。
絶対的な王が、この世を支配しており、その王も、私の言葉を神託として実行してくれている。
望むべき世界の形が、もうすぐ体現されよう。
その時が・・・・
忌々しいのは、あの大悪党の転生を制御できなかったこと。
我が手をすり抜けたということは、この世界に転生しているはずだが、200年以上も経つのに、
何も起きない。
平穏な時代。
もはや、あの大悪党は、前世の記憶も失い、ただの人としてこの地を這いずりまわっているのであろう。
そう思えば、多少は気も晴れる。
邪魔者は消えた。今こそ、望まれる世界を・・・
我が望む世界を・・・
平和で、憎しみ合うことのない、世界を・・・
一応、転生の神の独白です。




