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あいつ絶対・・・

作者: 天野 秋高

初投稿なので、テストも兼ねて短いギャグを投稿させていただきました。

ある日クラスメイトの一人が、忽然と姿を消した。

これといった特徴のない、地味な男だった。

勉強は平均よりやや下、スポーツは苦手。

格好いいとは言えないし、友達が多いというわけでもない。

俺だって挨拶や軽い世間話はしても、放課後に遊んだりということはない。

全く目立たない奴だったんだ。


一日目、風邪で休みだと先生が言った。

二日目、重い病気で入院したと噂が流れた。

三日目、捜索願を出すかもしれないと笑って言った者がいた。

四日目、あいつは何でもなかったような顔で教室に入ってきた。


入ってきたんだけどさぁ、どう考えたっておかしいじゃん。

普通、四日の間にそんなに身長伸びないじゃん。

「あぁ、こっちではえっと、いや、背が伸びるサプリっての飲んでさ、効いたんだけど副作用でちょっと入院してたんだよ」

ふ、ふーん、まぁいいさ。そういうこともないとは言えないもんな。

こっちではとか気になるけど、とりあえずはそういうことにしておいてやるよ。

でもさ、筋肉とかおかしいじゃん。体育の先生とか普通に倒せそうじゃん。

「たぶん楽勝かな。じゃなくて、それもサプリのせいだって。最近の技術はすごいよ」

じゃあじゃあ、俺もそのサプリ欲しい。どこに売ってんだよ。

「入院するほどの副作用だよ。販売中止になったに決まってんじゃん。俺のやつも回収されちゃったし」

そんなニュース、テレビでもネットでも見ねえよ。絶対そんなわけないじゃん。

けれどあいつは、誰に何回訊かれても、そういう風にしか答えない。

みんな面倒くさくなって、そんなわけないけどそういうことにしておくかって考えるようになった。

二か月もすれば、そんなことがあったなんて日常の中に埋もれていった。

そんな中、中間テストの結果が出て、あいつは学年一位になった。

もうやりすぎだって。絶対何かあったじゃん。

「いや、優秀な先生が、いやいや、入院とかしたから、置いていかれてないか不安になって頑張ったんだって」

もう隠せてないって。白状したほうが楽になれるからさぁ、何があったか言ってみろよ。

それでもあいつは躱し続けた。

勉強もできるようになったぐらいのことは見た目が変わり過ぎたことに比べればインパクトも弱く、すぐに誰も気にしなくなった。

勉強もスポーツもできて、誰にでも優しい。言動から自信が満ち溢れていて、顔だけならそれほどでもないけど、総合的に見ると格好いい。

あいつはどんどん人気者になっていった。

そんな時、事件は起きた。

転校生を紹介する先生の横に、金髪碧眼の美少女。

ナイスバディでどう見たって年上の美少女は、完璧な日本語で自己紹介する。

あろうことか先生の口から、彼女はあいつの家にホームステイとか何とか。

おまえさ、もう隠す気ないだろ。いいかげんにしろよ。もう何があったか教えてくれよ。

「何言ってんの。何かってなに?たまたま父さんの知り合いの娘さんだったから、うちにいるだけだよ」

あー、もういいよ。何かってなに?だと。もう俺が言うよ。すっきりしたいから。


おまえさ、異世界とかで魔王でも倒してきたんだろ。


あいつは、そして彼女も、笑った。



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