闇、活動開始
とある闇ギルドにて。暗い部屋の中にいるのは白衣を纏う老人と、小さいながらも随所に改造が施されたキメラが複数。
そんな部屋に現れたのは、一人の男。体つきは細マッチョというところだろうか。鋭い眼光も相まって、中々賢そうなイメージを受ける。
「何の用じゃ?ワシは忙しいんじゃが?」
「今、幹部陣の中で仕事に余裕があるのは貴方だけですけどね。来客者の対応を頼む、とマスターから……」
はぁ、とため息を吐きながらも、来客者の対応をすることにした白衣の老人の下に、一人の男が現れる。
こちらの男は、ガリヒョロ、といったところだろう。三枚目な顔立ちであり、お世辞にもカッコいいとは言い難い。
「闇ギルドレッド・リボルバーの者です!お願いします、助けてください!!」
男は土下座しつつ、聞かれもしない事情を話していく。そして、
「……そんで、キヨとかいう白髪のガキにギルドの人間がやられちまって……」
「……キヨ、といったか!?」
キヨの名前が出てきた瞬間、白衣の老人が反応した。しかめっ面が、一瞬で変わる。まるで懐かしい玩具を見つけたかのような顔に。
「……おい、そこの……したっぱギルドの奴を連れていけ。キメラに記憶を抜き出させろ」
「了解しました」
「は?お、おい!?キメラってどういうことだ!?おい、待て!!」
喚く、闇ギルドのしたっぱギルド員は、細マッチョのギルド員に拘束されて部屋から出ていった。
暫くしてから、細マッチョのギルド員が報告に来た。手には何かが入った袋を持っている。
「失礼します。あのギルド員から抜き出した記憶をお持ちしました」
「うむ。それをセットしておけ」
細マッチョなギルド員は記憶媒体らしきものを袋から取り出して、再生機へとセットした。
「では見るかの……」
再生される他人の記憶。そしてその最後の方にみえるのは、白髪の少年が一人で闇ギルドを襲撃している映像だった。
「っくく……はっはっはっは!!これはこれは!!!」
「博士?いったい?」
突然の笑い声に、驚くギルド員を余所に、老人は呟く。
「まだ生きていたのか、キヨ・アルケム。ならば今度は死ぬまで使ってやってもよいのぅ……」
ニヤついた顔をしている老人は、いつの日にかキヨを拉致した人物その人であった。




