表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
8th episode 日常─ゴカイ─
83/86

幹部

「……ぶち、殺す……」


先ほどの男とは別の、こちらは痩せている男が、火の槍を投げつけてきた。キヨはそれを身体強化、部分強化した腕でいなす。


すぐに足も部分強化を施して、男に肉薄すると、裏拳をその頭部へと叩き込んで吹き飛ばす。


「自分で飛んで、威力を殺そうとしたんだろうが……」


裏拳を放った握り拳を解き、魔法を射つ。


「【エアスラッシュ】」


風の刃が、痩せている男を容赦なく引き裂く。辺りには鮮血が散り、男が瀕死なのは一目で分かった。ここにいたって、彼らは気がついた。


キヨは自分たちを本当に三下程度にしか思っていない。この魔法だけでやられた男の実力は自分たち仲間が知っている。


ギルド内でも、この痩せた男は決して弱くない。いや、むしろ強い方だっただろうと言える。


そんな男が一つの魔法、二桁にもならない殴り合いだけで戦闘不能なのだ。


「気張れテメェらぁ!!!」


「「「おおぉぉぉぉ!!!」」」


果たして、誰が声をあげたのかは分からない。が、彼らにはこれで十分だった。心機一転。閑話休題。


裏にいることを誇示すべく、彼らはキヨへと群がった。


「甘いな……」


しかし、それこそキヨの本領を発揮できる状態である。彼の戦い方は、乱戦において最も効果が現れる。


敵の攻撃を誘導、敵の仲間へと当てることで自身の魔力消費を極限まで抑えつつ、敵を確実に減らす。


「【サンダーランス】!!」

「【ダークソード】!!」

「【アクアバード】!!」

「【ファイアウルフ】!!」


雷槍、黒剣、水鳥、炎狼。他にも数多くの魔法が、ギルド内部を飛び交い、お互いにぶつかり消えたり、キヨへ向かったりと様々である。


キヨは【ウィンドエリア】を発動させて、自身を中心とした半径5mを完全に把握する。


学園入学前なら、相当な苦戦を強いられただろうこの状況。しかしキヨは問題ないと踏んでいた。


ギルドでの依頼、ガルダス用の無属性魔法作成と訓練、自身の鍛錬は、確実に実力を引き上げていると分かるから。


キヨへと前から飛んでくる魔法群に、カウンター障壁とでも言うべき自作魔法の一つ、【ムシルド】に魔法強化用魔法【ムグルゼム】を2つほど使用する。


雷槍、黒剣、水鳥、炎狼……それぞれの魔法が障壁へとぶち当たり、術者本人へと戻っていく。


そして、背後からの奇襲を頭を下げてかわす。頭上を、曲刀が薙いだ。


「ちっ……」


「……」


曲刀を振ったのは、筋骨隆々な体にスキンヘッドという、いかにもな風貌の男。その男の舌打ちには欠片も反応せずに、キヨは次の行動へと移る。


近くにあった机を蹴り上げ、前方にいる彼らの視界から外れる。それと同時に後方にいる者たちへの牽制を行う。


「【魔砲・衝】!!」


床へと【魔砲・衝】を当てることで見た目からボロボロなことが分かった床を破壊。埃を撒き散らして目眩ましとした。


「ちっ……風魔法使える奴ら、埃を飛ばせぇ!!あがっ!!!」


声で狙いを付けて、キヨは【アクアランス】を叩き込む。そしてその水の槍を食らった敵を、水を氷に変えて氷漬け状態へと変化させてまた無力化。


このようにどんどんと彼らを手際よく文字通りに『氷漬け』にして無力化する。そこには、手加減も容赦も、慈悲もなかった。


「おやおや、これは一体なんの騒ぎかな?諸君……」


「ボ、ボス……」


そんな中、一人の男がギルドの奥から現れた。


背が高く、整った顔。ルニアと同じく金髪の髪は首の辺りで一つに束ねられている。目は赤く、柔らかそうな顔を強調しているようだ。


「いいから答えたまえ」


「し、ししし侵入者です。そ、それもかなりや、やり手の……」


答えたヒョロヒョロの男を一瞥すると、おもむろに手をヒラヒラさせて退場しろという意思表示をする。


「そう、そこの君が侵入者かな?」


「待ってたぜ、闇ギルドの幹部さまよぉ?」


そんな優しげな男だった彼に、今までの優しげな雰囲気は微塵もない。あるのは、殺気と闘気だけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ